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ルビ付きテキスト

第15話 新劇の分類・岸田国士(新字旧仮名)


■ 伏字ふせじ漢字かんじ

※ ❶いち~から❻ろくは小1しょういち~から小6しょうろく、❼ななは中学ちゅうがくで覚おぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 思 , 新
小3,❸: 主 , 進
小4,❹: 的 , 芸
小5,❺: 演 , 義 , 術
小6,❻: 劇

■ 学習がくしゅうコンテンツ  

※ 読よみ仮名がなで漢字『かんじ』(『かんじ』)の様ように括弧かっこの付ついた漢字かんじは原書げんしょで読よみ仮名がなが付ついている漢字かんじです。


作品さくひん名めい:新劇しんげきの分類ぶんるい
著者ちょしゃ名めい:岸田きしだ國士くにお

 近頃ちかごろ一部いちぶの❺❻えんげき評論家ひょうろんかの間あいだに、「❸歩しんぽ❹てき❺❻えんげき」といふゆう言葉ことばが使つかはれてゐいる。これには勿論もちろん特別とくべつな意味いみを含ふくませてあるのであつて、僕ぼくたちの書かくものはその部類ぶるいにははひらないらしい。別べつに入いれてもらはなくてもいゝいが、そんな勝手かってな名前なまえをどんな❺❻えんげきが独占どくせんしてゐいるかといふうと、旧きゅう左翼さよく系けいのイデオロギイをちよつぴり臭におはせたもの、即すなわち社会しゃかい❸❺しゅぎ❹てき問題もんだい❻げきなのである。
          ×かける
 嘗かつては「前衛ぜんえい❻げき」といふゆう言葉ことばがプロレタリア❻げきの代名詞だいめいしであつた。日本にほんだけで(或あるいはロシアもさうかも知しれぬが)そんな勝手かってな言葉ことばの使つかいひ方かたをするのは甚はなはだ困こまるのであつて、❹❺げいじゅつの領域りょういきに於おいて「アヴアン・ギヤルド」の運動うんどうと云いへば、断ことわるまでもなく、既成きせい陣営じんえいからのいろいろな面めんでの離反りはん、突出とっしゅつ、先行せんこうを指さすのである。
          ×かける
 現在げんざいわが国くにが当面とうめんしてゐいるやうな情勢じょうせいでは反はん資本しほん❸❺しゅぎ❹てき❷想しそうの争闘そうとう❹てきポーズのみを「❸歩❹しんぽてき」なりと称しょうすることは、著いちじるしく独善どくぜんの臭におひを発散はっさんさせ、少すくなくとも❷❻しんげきのあらゆる面めんでの❸歩しんぽ発展はってんに目めをふさぐ結果けっかになりはしないかと❷おもふ。
          ×かける
 これに対たいして、❷❻しんげきのうちの「❸歩❹しんぽてきならざる」ものを「❹❺げいじゅつ❹てき❺❻えんげき」――(❹❺げいじゅつ至上しじょう❸❺しゅぎ❹てき❺❻えんげきの略語りゃくごか)と呼よんでゐいるのもどうかと❷おもふ。悪口わるくちはいくらでもいへるにしろ、❹❺げいじゅつ至上しじょう❸❺しゅぎなどといふゆう洒落しゃれたものが生うまれる時代じだいではないのである。

■ コンテンツこんてんつ  


作品さくひん名めい:新劇しんげきの分類ぶんるい
著者ちょしゃ名めい:岸田きしだ國士くにお

 近頃ちかごろ一部いちぶの演劇えんげき評論家ひょうろんかの間あいだに、「進歩しんぽ的てき演劇えんげき」といふゆう言葉ことばが使つかはれてゐいる。これには勿論もちろん特別とくべつな意味いみを含ふくませてあるのであつて、僕ぼくたちの書かくものはその部類ぶるいにははひらないらしい。別べつに入いれてもらはなくてもいゝいが、そんな勝手かってな名前なまえをどんな演劇えんげきが独占どくせんしてゐいるかといふうと、旧きゅう左翼さよく系けいのイデオロギイいでおろぎいをちよつぴり臭におはせたもの、即すなわち社会しゃかい主義しゅぎ的てき問題もんだい劇げきなのである。
          ×かける
 嘗かつては「前衛ぜんえい劇げき」といふゆう言葉ことばがプロレタリアぷろれたりあ劇げきの代名詞だいめいしであつた。日本にほんだけで(或あるいはロシアろしあもさうかも知しれぬが)そんな勝手かってな言葉ことばの使つかいひ方かたをするのは甚はなはだ困こまるのであつて、芸術げいじゅつの領域りょういきに於おいて「アヴアンあゔあん・ギヤルドぎやるど」の運動うんどうと云いへば、断ことわるまでもなく、既成きせい陣営じんえいからのいろいろな面めんでの離反りはん、突出とっしゅつ、先行せんこうを指さすのである。
          ×かける
 現在げんざいわが国くにが当面とうめんしてゐいるやうな情勢じょうせいでは反はん資本しほん主義しゅぎ的てき思想しそうの争闘そうとう的てきポーズぽーずのみを「進歩的しんぽてき」なりと称しょうすることは、著いちじるしく独善どくぜんの臭におひを発散はっさんさせ、少すくなくとも新劇しんげきのあらゆる面めんでの進歩しんぽ発展はってんに目めをふさぐ結果けっかになりはしないかと思おもふ。
          ×かける
 これに対たいして、新劇しんげきのうちの「進歩的しんぽてきならざる」ものを「芸術げいじゅつ的てき演劇えんげき」――(芸術げいじゅつ至上しじょう主義しゅぎ的てき演劇えんげきの略語りゃくごか)と呼よんでゐいるのもどうかと思おもふ。悪口わるくちはいくらでもいへるにしろ、芸術げいじゅつ至上しじょう主義しゅぎなどといふゆう洒落しゃれたものが生うまれる時代じだいではないのである。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.44458(新字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/card44458.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001154/files/44458_37226.html 底本:「岸田國士全集23」岩波書店    1990(平成2)年12月7日発行 底本の親本:「東京朝日新聞」    1937(昭和12)年5月11日 初出:「東京朝日新聞」    1937(昭和12)年5月11日 入力:tatsuki 校正:門田裕志
■ 漢字の説明( Explanation of kanji )  
❷
思
シ・思おもう・▲思おぼしい
feelingふぃーりんぐ ,thinkingしんきんぐ
❷
新
シン・新あたらしい・新あらた・㊥新にい・▲新さら
newにゅー
❸
主
シュ・㋙ス・主ぬし・主おも・▲主あるじ・▲主つかさどる
mainめいん ,godごっど ,husbandはずばんど ,principalぷりんしぱる
❸
進
シン・進すすむ・進すすめる
advanceあどばんす ,progressぷろぐれす ,proseedぷろしーど
❹
的
テキ・的まと・▲的あきらか
typicalてぃぴかる ,targetたーげっと
❹
芸
ゲイ・▲芸わざ・▲芸うえる
performingぱふぉーみんぐ artsあーつ ,technicalてくにかる skillすきる ,academicあかでみっく
❺
演
エン・▲演のべる・▲演おこなう
performanceぱふぉーまんす
❺
義
ギ・▲義よい
justiceじゃすてぃす ,righteousnessらいちゃすなぁす
❺
術
ジュツ・▲シュツ・▲スイ・▲術わざ・▲術すべ
wayうぇい ,atrあーと ,meansみーんず
❻
劇
ゲキ・▲劇はげしい
dramaどらま ,dramaticどらまてぃっく
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷思MojnaviGoogleBing
2小2 ❷新MojnaviGoogleBing
3小3 ❸主MojnaviGoogleBing
4小3 ❸進MojnaviGoogleBing
5小4 ❹的MojnaviGoogleBing
6小4 ❹芸MojnaviGoogleBing
7小5 ❺演MojnaviGoogleBing
8小5 ❺義MojnaviGoogleBing
9小5 ❺術MojnaviGoogleBing
10小6 ❻劇MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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