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ルビ付きテキスト

第21話 月産五百台が我社の根本方針・豊田喜一郎(旧字旧仮名)


■ 伏字ふせじ漢字かんじ

※ ❶いち~から❻ろくは小1しょういち~から小6しょうろく、❼ななは中学ちゅうがくで覚おぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 場 , 工 , 用
小3,❸: 全 , 意 , 期 , 第
小4,❹: 完 , 成 , 要

■ 学習がくしゅうコンテンツ  

※ 読よみ仮名がなで漢字『かんじ』(『かんじ』)の様ように括弧かっこの付ついた漢字かんじは原書げんしょで読よみ仮名がなが付ついている漢字かんじです。


作品さくひん名めい:月産げっさん五百ごひゃく臺だいが我社わがしゃの根本こんぽん方針ほうしん
――豐田とよた常務じょうむ語かたる――
著者ちょしゃ名めい:豊田とよだ喜一郎きいちろう


 わが社しゃの❸だい一回いっかい販賣はんばい店てん協議きょうぎ會かいは去さる四月しがつ廿にじゅう七日しちにち午前ごぜん十時じゅうじ半はんから刈谷かりやの❷❷こうじょうで開催かいさいされたが、同日どうじつ午後ごごの會議かいぎの席上せきじょう常務じょうむ豐田とよた喜一郎きいちろう氏しは大❹たいよう左さの如ごとき挨拶あいさつを爲なし當とう❷❷こうじょうの方針ほうしんを明あきらかにしたことは頗すこぶる注目ちゅうもくを惹ひいた。

 私わたくしが自動車じどうしゃ製作せいさくに着手ちゃくしゅ致いたしました時ときの當初とうしょの❸向いこうでは、月産げっさん二百にひゃく臺だいを目標もくひょうとして乘❷じょうよう車しゃを生産せいさんすることにあつたのでありますが各かく關係かんけい方面ほうめんの御❹望ごようぼうによりトラツク三百さんびゃく臺だいを右みぎに加くわへることになり、結局けっきょく五百ごひゃく臺だいを製作せいさくせねばならぬといふうのが現在げんざいの方針ほうしんなのであります。故ゆえに今日こんにちではそこを目指めざして一❸いちい技術ぎじゅつの改善かいぜんや設備せつびの擴張かくちょうを行おこなつてゐいる次❸しだいであつて、今年ことし中ぢゅうには遲おそくもこの具體ぐたい化かを❹❹かんせいする決心けっしんであります。
 製品せいひんの❹璧かんぺきを❸きするためには常つねに研究けんきゅう❸一だいいちをわが社しゃのモツトーとしてゐいるのでありますが、例たとへば自動車じどうしゃの鑄物いものに電氣でんき爐ろを使❷しようしたのは當とう❷❷こうじょうが最初さいしょであつたと思おもひます。之これを使❷しようして❹❸かんぜんな鑄物いものを造つくるのに三ヶ年さんかねんの日子にっしを費ついやしました。又また鑄物いものを設計せっけいの寸法すんぽう通どおり正確せいかくに造つくるには從來じゅうらい通どおり手❷業しゅこうぎょう的てき方法ほうほうによるべきでないと思おもひましたので、モールデイング・マシーンを採❷さいよう致いたしましたが、これが操作そうさを❹❸かんぜんに體得たいとくするまでには前者ぜんしゃ同樣どうようの時日じじつを❹ようしたのでありました。
 更さらにギアー類るいデイゼルエンジン等などについてもそれ/\ぞれ學識がくしき經驗けいけんある各かく方面ほうめんの❸見いけんを徴しるしてゐいるのであります。近ちかく發表はっぴょうの豫定よていになつてゐいる乘❷じょうよう車しゃに關かんし、そのモデルを何どうするかボデーの色彩しきさいを何どう定さだめるか等などについても色々いろいろ苦心くしんして居おりますが、この方面ほうめんについても畫家がかとして又また❷藝こうげい方面ほうめんにも造詣ぞうけい深ふかい某ぼう大家たいかの考案こうあんを煩わずらはして居おります。
 ボデーが出來でき上あがるまでにはアメリカ邊あたりでは設計せっけい―型ひとかた―製作いちせいさく―發表いちはっぴょうまでには實じつに三ヶ年さんかねんを❹ようするといふゆう事ことでありますが、外國がいこく車しゃに追付おいつかうとする爲ためにはどうしても右みぎの行程こうていを一ヶ年いちかねんで仕遂しとげる必❹ひつようがあると思おもひまして、種々しゅじゅ考究こうきゅう致いたして居おりますが、先まづ所❸しょき通どおりの結果けっかをこうすれば達❹たっせいし得えるといふゆう、大體だいたいの❹算せいさんを最近さいきん立たてるに至いたつた次❸しだいであります。
 ❹ようするに國産こくさん大衆車たいしゅうしゃの❹❹かんせいのためには如何いかなる研究けんきゅう努力どりょくをも盡つくし各かく方面ほうめんの❸向いこうを徴しるし以もって萬❸ばんぜんを❸きしたい考かんがへであります。

■ コンテンツこんてんつ  


作品さくひん名めい:月産げっさん五百ごひゃく臺だいが我社わがしゃの根本こんぽん方針ほうしん
――豐田とよた常務じょうむ語かたる――
著者ちょしゃ名めい:豊田とよだ喜一郎きいちろう


 わが社しゃの第だい一回いっかい販賣はんばい店てん協議きょうぎ會かいは去さる四月しがつ廿にじゅう七日しちにち午前ごぜん十時じゅうじ半はんから刈谷かりやの工場こうじょうで開催かいさいされたが、同日どうじつ午後ごごの會議かいぎの席上せきじょう常務じょうむ豐田とよた喜一郎きいちろう氏しは大要たいよう左さの如ごとき挨拶あいさつを爲なし當とう工場こうじょうの方針ほうしんを明あきらかにしたことは頗すこぶる注目ちゅうもくを惹ひいた。

 私わたくしが自動車じどうしゃ製作せいさくに着手ちゃくしゅ致いたしました時ときの當初とうしょの意向いこうでは、月産げっさん二百にひゃく臺だいを目標もくひょうとして乘用じょうよう車しゃを生産せいさんすることにあつたのでありますが各かく關係かんけい方面ほうめんの御要望ごようぼうによりトラツクとらつく三百さんびゃく臺だいを右みぎに加くわへることになり、結局けっきょく五百ごひゃく臺だいを製作せいさくせねばならぬといふうのが現在げんざいの方針ほうしんなのであります。故ゆえに今日こんにちではそこを目指めざして一意いちい技術ぎじゅつの改善かいぜんや設備せつびの擴張かくちょうを行おこなつてゐいる次第しだいであつて、今年ことし中ぢゅうには遲おそくもこの具體ぐたい化かを完成かんせいする決心けっしんであります。
 製品せいひんの完璧かんぺきを期きするためには常つねに研究けんきゅう第一だいいちをわが社しゃのモツトーもつとーとしてゐいるのでありますが、例たとへば自動車じどうしゃの鑄物いものに電氣でんき爐ろを使用しようしたのは當とう工場こうじょうが最初さいしょであつたと思おもひます。之これを使用しようして完全かんぜんな鑄物いものを造つくるのに三ヶ年さんかねんの日子にっしを費ついやしました。又また鑄物いものを設計せっけいの寸法すんぽう通どおり正確せいかくに造つくるには從來じゅうらい通どおり手工業しゅこうぎょう的てき方法ほうほうによるべきでないと思おもひましたので、モールデイングもーるでいんぐ・マシーンましーんを採用さいよう致いたしましたが、これが操作そうさを完全かんぜんに體得たいとくするまでには前者ぜんしゃ同樣どうようの時日じじつを要ようしたのでありました。
 更さらにギアーぎあー類るいデイゼルエンジンでいぜるえんじん等などについてもそれ/\ぞれ學識がくしき經驗けいけんある各かく方面ほうめんの意見いけんを徴しるしてゐいるのであります。近ちかく發表はっぴょうの豫定よていになつてゐいる乘用じょうよう車しゃに關かんし、そのモデルもでるを何どうするかボデーぼでーの色彩しきさいを何どう定さだめるか等などについても色々いろいろ苦心くしんして居おりますが、この方面ほうめんについても畫家がかとして又また工藝こうげい方面ほうめんにも造詣ぞうけい深ふかい某ぼう大家たいかの考案こうあんを煩わずらはして居おります。
 ボデーぼでーが出來でき上あがるまでにはアメリカあめりか邊あたりでは設計せっけい―型ひとかた―製作いちせいさく―發表いちはっぴょうまでには實じつに三ヶ年さんかねんを要ようするといふゆう事ことでありますが、外國がいこく車しゃに追付おいつかうとする爲ためにはどうしても右みぎの行程こうていを一ヶ年いちかねんで仕遂しとげる必要ひつようがあると思おもひまして、種々しゅじゅ考究こうきゅう致いたして居おりますが、先まづ所期しょき通どおりの結果けっかをこうすれば達成たっせいし得えるといふゆう、大體だいたいの成算せいさんを最近さいきん立たてるに至いたつた次第しだいであります。
 要ようするに國産こくさん大衆車たいしゅうしゃの完成かんせいのためには如何いかなる研究けんきゅう努力どりょくをも盡つくし各かく方面ほうめんの意向いこうを徴しるし以もって萬全ばんぜんを期きしたい考かんがへであります。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.53658(旧字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001362/card53658.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001362/files/53658_56386.html 底本:「豊田喜一郎文書集成」名古屋大学出版会    1999(平成11)年4月15日初版第1刷発行 初出:「トヨダニュース 第一号」    1936(昭和11)年5月10日 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 入力:sogo 校正:塚本由紀
■ 漢字の説明( Explanation of kanji )  
❷
場
ジョウ・場ば
fieldふぃーるど ,placeぷれーす
❷
工
コウ・ク・▲工たくみ・▲工たくむ・▲工わざ
engineeringえんじにありんぐ
❷
用
ヨウ・用もちいる・▲用はたらき・▲用もって
useゆーず
❸
全
ゼン・▲セン・全まったく・全すべて
allおーる ,wholeほーる ,entireえんたいあ
❸
意
イ・▲意こころ・意おもう
meaningみーにんぐ ,intentionいんてんしょん
❸
期
キ・㋙ゴ・▲期とき・▲期ちぎる・▲期きめる
periodぴりおど
❸
第
ダイ・▲テイ・▲第ついで・▲第やしき
ordinalおーでぃなる numberなんばー
❹
完
カン・▲完まっとうする
completeこんぷりーと
❹
成
セイ・㋙ジョウ・成なる・成なす
beびー ,becomeびかむ
❹
要
ヨウ・要かなめ・㊥要いる・▲要もとめる
requireりくわいあ ,pivotぴぼっと
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷場MojnaviGoogleBing
2小2 ❷工MojnaviGoogleBing
3小2 ❷用MojnaviGoogleBing
4小3 ❸全MojnaviGoogleBing
5小3 ❸意MojnaviGoogleBing
6小3 ❸期MojnaviGoogleBing
7小3 ❸第MojnaviGoogleBing
8小4 ❹完MojnaviGoogleBing
9小4 ❹成MojnaviGoogleBing
10小4 ❹要MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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