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第27話 トヨタ電気自動車試作・豊田喜一郎(旧字旧仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 後 , 池 , 電
小4,❹: 利 , 改
中学,❼: 乏 , 帝 , 懸 , 蓄 , 較

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仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。


作品さくひんめいトヨタ電氣でんき自動車じどうしゃ試作しさく
――ふく社長しゃちょう豐田とよだ喜一郎きいちろう抱負ほうふかたる――
著者ちょしゃめい豐田とよだ喜一郎きいちろう

 愛知あいちけん擧母ころもトヨタ自動車じどうしゃ工業こうぎょう株式かぶしき會社がいしゃでは我國わがくに燃料ねんりょう資源しげん適合てきごうしたもっと經濟けいざいてき自動車じどうしゃ製作せいさくして好評こうひょうはくしてるが同社どうしゃ研究所けんきゅうじょおいては益々ますます國策こくさく順應じゅんのうした自動車じどうしゃ製作せいさくせんとデイゼル・エンヂンを完成かんせい中型ちゅうがた乘用じょうようしゃ試作しさくし、我國わがくに自動車じどうしゃかい一大いちだいセンセーシヨンをまきおこして矢先やさきいままた❼❷❷ちくでんち自動車じどうしゃ製作せいさく發表はっぴょうされた。ふく社長しゃちょう豐田とよだ喜一郎きいちろう同車どうしゃ研究けんきゅう經過けいかかんつぎごとかたつた。

わがくにつね燃料ねんりょう問題もんだいこまつてるが天然てんねん水力すいりょく❹用りようした水力すいりょく❷氣でんき比❼的ひかくてき發達はったつしてるのであるから夜間やかん使用しようする❷力でんりょく貯❼ちょちくして動力どうりょく乃至ないし燃料ねんりょう資源しげん窮❼きゅうぼうそなへる必要ひつようがあります。佐吉さきちおう上海しゃんはいおい紡績ぼうせき事業じぎょう經營けいえいして當時とうじ米國べいこくへの移民いみん禁止きんしされたるを非常ひじょう憤慨ふんがいして「なんとか日本人にほんじんちからもっ經濟けいざいてき諸外國じょがいこく打勝うちかことかんがへねばならぬ、それには日本にほん水力すいりょく❹用りようしてその❷力でんりょく❼❷ちくでんしこれを海外かいがい輸出ゆしゅつするか、これを飛行機ひこうき自動車じどうしゃなど❹用りようしなければならない」とかたつたことがありますがおおいに❼❷❷ちくでんち❹良かいりょう痛感つうかん❼國ていこく發明はつめい協會きょうかい百萬ひゃくまんえんして❼❷❷ちくでんち研究けんきゅう❼賞金けんしょうきんとしたのであります。
 其❷そのごかく方面ほうめんこの研究けんきゅう相當そうとうちかられて部分的ぶぶんてきには可成かな❹良かいりょうされたものもあるが劃期的かっきてきだい❹良かいりょうふものはいまあらわれないのであります。すべ發明はつめいふものはおもひもらぬところからうまれるのであつて、日本人にほんじん一人ひとりでもおおくが❼❷❷ちくでんち發明はつめい研究けんきゅう注意ちゅういおこたらぬようにするのがこの❼賞金けんしょうきん目的もくてきひとつであります。それ以來いらい毎年まいとし審査しんさかいおい❼❷❷ちくでんち❹良かいりょう進歩しんぽしたものが出來できあるが、平常へいじょう自動車じどうしゃ採用さいようして經濟けいざいてきなりとみとめられるものは中々なかなか困難こんなんでありました。
 一方いっぽう發明はつめい協會きょうかいでは百萬ひゃくまんえん❹子りしもってトヨタ研究所けんきゅうじょつく各種かくしゅ❼❷❷ちくでんち研究けんきゅうしてたが、この研究けんきゅう委託いたくされた拔山ぬきやま博士はかせわたくし學友がくゆうでありまして其❷そのご研究けんきゅう經過けいかうかがいひましたところ非常ひじょう好成績こうせいせきしめしてることをいてよろこんで次第しだいであります。
 すべ斯樣かよう種類しゅるいのものは實驗じっけん室内しつないおい實驗じっけんてきつくつてるのでは本當おhんとう研究けんきゅう出來できないのである程度ていど思切おもいきつて大量たいりょうつく實用じつようきょうさねばならないしかのち欠點けってん順次じゅんじ❹良かいりょうしてくべきであります。此處ここらおい當社とうしゃ從來じゅうらい研究けんきゅう結果けっか相當そうとう冒險ぼうけんであつたけれども❼❷❷ちくでんち自動車じどうしゃ❷❷でんちつくつてところ結果けっか比❼的ひかくてきはや❹良かいりょうされて東京とうきょう芝浦しばうら❼❷❷ちくでんち試作しさく研究所けんきゅうじょつくこといたしました。
 また發明はつめい協會きょうかいおいては從來じゅうらい化學かがくしゃ絶對ぜったい不賛成ふさんせいであるとてん拔山ぬきやま博士はかせ理由りゆうもとづ試驗しけんしてところ從來じゅうらいのものより一割いちわり程度ていどかるく、振動しんどうつよしか短時間たんじかんおおきな放❷ほうでん特性とくせいつた優秀ゆうしゅうなものが出來できようになりました。今囘こんかい當社とうしゃ❼國ていこく發明はつめい協會きょうかいから❼❷❷ちくでんち製作せいさく權❹けんりゆずけ、❼❷❷ちくでんち製作せいさく開始かいしすると同時どうじに、全然ぜんぜんあたらしい設備せつびによるモーターおよびシヤシーの製作せいさく開始かいしいたしました。勿論もちろんこの❼❷❷ちくでんちもっ最❷さいごのものとせず、今❷こんご益々ますます研究けんきゅうせねばなりませんが、現在げんざい非常時ひじょうじきょくさいしガソリン節約せつやくてんからも多少たしょうなりとも實用じつようるとおもひます。當社とうしゃ燃料ねんりょう國策こくさく立場たちばから率先そっせんして程度ていど犧牲ぎせい覺悟かくごうえ❼❷❷ちくでんち自動車じどうしゃ製作せいさく着手ちゃくしゅしましたが、製品せいひん來春らいしゅん發表はっぴょう豫定よていであります。

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作品さくひんめいトヨタとよた電氣でんき自動車じどうしゃ試作しさく
――ふく社長しゃちょう豐田とよだ喜一郎きいちろう抱負ほうふかたる――
著者ちょしゃめい豐田とよだ喜一郎きいちろう

 愛知あいちけん擧母ころもトヨタとよた自動車じどうしゃ工業こうぎょう株式かぶしき會社がいしゃでは我國わがくに燃料ねんりょう資源しげん適合てきごうしたもっと經濟けいざいてき自動車じどうしゃ製作せいさくして好評こうひょうはくしてるが同社どうしゃ研究所けんきゅうじょおいては益々ますます國策こくさく順應じゅんのうした自動車じどうしゃ製作せいさくせんとデイゼルでいぜるエンヂンえんぢん完成かんせい中型ちゅうがた乘用じょうようしゃ試作しさくし、我國わがくに自動車じどうしゃかい一大いちだいセンセーシヨンせんせーしよんまきおこして矢先やさきいままた蓄電池ちくでんち自動車じどうしゃ製作せいさく發表はっぴょうされた。ふく社長しゃちょう豐田とよだ喜一郎きいちろう同車どうしゃ研究けんきゅう經過けいかかんつぎごとかたつた。

わがくにつね燃料ねんりょう問題もんだいこまつてるが天然てんねん水力すいりょく利用りようした水力すいりょく電氣でんき比較的ひかくてき發達はったつしてるのであるから夜間やかん使用しようする電力でんりょく貯蓄ちょちくして動力どうりょく乃至ないし燃料ねんりょう資源しげん窮乏きゅうぼうそなへる必要ひつようがあります。佐吉さきちおう上海しゃんはいおい紡績ぼうせき事業じぎょう經營けいえいして當時とうじ米國べいこくへの移民いみん禁止きんしされたるを非常ひじょう憤慨ふんがいして「なんとか日本人にほんじんちからもっ經濟けいざいてき諸外國じょがいこく打勝うちかことかんがへねばならぬ、それには日本にほん水力すいりょく利用りようしてその電力でんりょく蓄電ちくでんしこれを海外かいがい輸出ゆしゅつするか、これを飛行機ひこうき自動車じどうしゃなど利用りようしなければならない」とかたつたことがありますがおおいに蓄電池ちくでんち改良かいりょう痛感つうかん帝國ていこく發明はつめい協會きょうかい百萬ひゃくまんえんして蓄電池ちくでんち研究けんきゅう懸賞金けんしょうきんとしたのであります。
 其後そのごかく方面ほうめんこの研究けんきゅう相當そうとうちかられて部分的ぶぶんてきには可成かな改良かいりょうされたものもあるが劃期的かっきてきだい改良かいりょうふものはいまあらわれないのであります。すべ發明はつめいふものはおもひもらぬところからうまれるのであつて、日本人にほんじん一人ひとりでもおおくが蓄電池ちくでんち發明はつめい研究けんきゅう注意ちゅういおこたらぬようにするのがこの懸賞金けんしょうきん目的もくてきひとつであります。それ以來いらい毎年まいとし審査しんさかいおい蓄電池ちくでんち改良かいりょう進歩しんぽしたものが出來できあるが、平常へいじょう自動車じどうしゃ採用さいようして經濟けいざいてきなりとみとめられるものは中々なかなか困難こんなんでありました。
 一方いっぽう發明はつめい協會きょうかいでは百萬ひゃくまんえん利子りしもっトヨタとよた研究所けんきゅうじょつく各種かくしゅ蓄電池ちくでんち研究けんきゅうしてたが、この研究けんきゅう委託いたくされた拔山ぬきやま博士はかせわたくし學友がくゆうでありまして其後そのご研究けんきゅう經過けいかうかがいひましたところ非常ひじょう好成績こうせいせきしめしてることをいてよろこんで次第しだいであります。
 すべ斯樣かよう種類しゅるいのものは實驗じっけん室内しつないおい實驗じっけんてきつくつてるのでは本當おhんとう研究けんきゅう出來できないのである程度ていど思切おもいきつて大量たいりょうつく實用じつようきょうさねばならないしかのち欠點けってん順次じゅんじ改良かいりょうしてくべきであります。此處ここらおい當社とうしゃ從來じゅうらい研究けんきゅう結果けっか相當そうとう冒險ぼうけんであつたけれども蓄電池ちくでんち自動車じどうしゃ電池でんちつくつてところ結果けっか比較的ひかくてきはや改良かいりょうされて東京とうきょう芝浦しばうら蓄電池ちくでんち試作しさく研究所けんきゅうじょつくこといたしました。
 また發明はつめい協會きょうかいおいては從來じゅうらい化學かがくしゃ絶對ぜったい不賛成ふさんせいであるとてん拔山ぬきやま博士はかせ理由りゆうもとづ試驗しけんしてところ從來じゅうらいのものより一割いちわり程度ていどかるく、振動しんどうつよしか短時間たんじかんおおきな放電ほうでん特性とくせいつた優秀ゆうしゅうなものが出來できようになりました。今囘こんかい當社とうしゃ帝國ていこく發明はつめい協會きょうかいから蓄電池ちくでんち製作せいさく權利けんりゆずけ、蓄電池ちくでんち製作せいさく開始かいしすると同時どうじに、全然ぜんぜんあたらしい設備せつびによるモーターもーたーおよシヤシーしやしー製作せいさく開始かいしいたしました。勿論もちろんこの蓄電池ちくでんちもっ最後さいごのものとせず、今後こんご益々ますます研究けんきゅうせねばなりませんが、現在げんざい非常時ひじょうじきょくさいガソリンがそりん節約せつやくてんからも多少たしょうなりとも實用じつようるとおもひます。當社とうしゃ燃料ねんりょう國策こくさく立場たちばから率先そっせんして程度ていど犧牲ぎせい覺悟かくごうえ蓄電池ちくでんち自動車じどうしゃ製作せいさく着手ちゃくしゅしましたが、製品せいひん來春らいしゅん發表はっぴょう豫定よていであります。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.49267(旧字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001362/card49267.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001362/files/49267_33299.html 底本:「豊田喜一郎文書集成」名古屋大学出版会    1999(平成11)年4月15日初版発行 初出:「モーター」    1939(昭和14)年11月号 入力:sogo 校正:川山隆
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

ゴ・コウ・のちうしろ・あと・㊥おくれる・▲しり
rearりあ

チ・いけ
pondぽんど

デン・▲テン・▲いなずま
electricityえれくとりしてぃ

リ・㋙く・▲するどい・▲し・▲
profitぷろふぃっとbenefitべねふぃっとadvantageあどばんてーじ

カイ・あらためる・あらたまる
improvementいんぷるーぶめんとreformりふぉーむ

ボウ・▲,ホウ・とぼしい
poorぷあ

テイ・▲タイ・▲みかど
emperorえんぺらー

ケン・㋙ケ・ける・かる・▲へだたる
hangはんぐ

チク・たくわえる
storeすとあ

カク・▲コウ・▲くらべる
comparingこんぺありんぐ
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷MojnaviGoogleBing
2小2 ❷MojnaviGoogleBing
3小2 ❷MojnaviGoogleBing
4小4 ❹MojnaviGoogleBing
5小4 ❹MojnaviGoogleBing
6中学 ❼MojnaviGoogleBing
7中学 ❼MojnaviGoogleBing
8中学 ❼MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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