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ルビ付きテキスト

第41話 落葉・木村好子(新字新仮名)


■ 伏字ふせじ漢字かんじ

※ ❶いち~から❻ろくは小1しょういち~から小6しょうろく、❼ななは中学ちゅうがくで覚おぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 秋 , 鳴
小3,❸: 去
小4,❹: 散
中学,❼: 凡 , 壌 , 悩 , 涯 , 穂 , 舞

■ 学習がくしゅうコンテンツ  

※ 読よみ仮名がなで漢字『かんじ』(『かんじ』)の様ように括弧かっこの付ついた漢字かんじは原書げんしょで読よみ仮名がなが付ついている漢字かんじです。


作品さくひん名めい:落葉おちば
著者ちょしゃ名めい:木村きむら好子よしこ

落葉おちばよ、落葉おちばよ、
❷風あきかぜに吹ふかれて、
お前まえがカラカラと❷なり乍ながら
井戸端いどばたに水みずすすぐ私わたくしの手元てもとへ、黄色きいろく、
❼まいこんでくると、
おお、私わたくしは胸むねふたがれる!

何一なにひとつもたらすことなく、
過すぎ❸さった日ひの一日いちにち一日いちにちを
ただ、えいえいと
つづれつくろい、米こめかしぎ
❼すべての希『のぞ』みも、よろこびも、
かなしみさえもおき❸ざりにして
生❼しょうがいをただ貧まずしく終おえゆく無数むすうの私わたくしらの生命いのちのように、
ああ、お前まえは❹ちってゆく、
❷風あきかぜになぶられて、❼まい乍ながら……

空そらは、
こんなに青あおく、深ふかく、
豊ゆたかにみのっている❼波ほなみもあろうに。
落葉おちばよ、
お前まえのそのカラカラと❷なる音おとは
どんなに、私わたくしの胸むねをたたき、
あわれを――、
はきよせられ、すて❸さられるものの上うえにはせさせるか!

ああ、ひょうひょうと❼まい乍ながら、
むなしく❹ちりゆく落葉おちばよ!
けれども、
お前まえのそのつもりつもった骸『むくろ』が、豊饒ほうじょうな土❼どじょうをつくり、
やがて、来くる春はるにそなえるように、
私わたくしたちの、このいためられた生活せいかつが
失うしなったものが、
地上ちじょうにみちあふれ、天地てんちを包つつむとき、
そこに、
新あたらしい世界せかいが……

おお落葉おちばよ、落葉おちばよ、
私わたくしらのもみくちゃな生せいよ、
苦❼くのうのカラよ
❷風あきかぜにたたかれて、激はげしく、
❹ちれよ、❹ちれ!


(『詩し精神せいしん』一九三五せんきゅうひゃくさんじゅうご年ねん十一じゅういち・十二じゅうに月がつ合併がっぺい号ごうに発表はっぴょう 一九三六せんきゅうひゃくさんじゅうろく年ねん一月いちがつ前奏ぜんそう社しゃ刊かん『一九三五せんきゅうひゃくさんじゅうご年ねん詩集ししゅう』を底本ていほん)

■ コンテンツこんてんつ  


作品さくひん名めい:落葉おちば
著者ちょしゃ名めい:木村きむら好子よしこ

落葉おちばよ、落葉おちばよ、
秋風あきかぜに吹ふかれて、
お前まえがカラカラからからと鳴なり乍ながら
井戸端いどばたに水みずすすぐ私わたくしの手元てもとへ、黄色きいろく、
舞まいこんでくると、
おお、私わたくしは胸むねふたがれる!

何一なにひとつもたらすことなく、
過すぎ去さった日ひの一日いちにち一日いちにちを
ただ、えいえいと
つづれつくろい、米こめかしぎ
凡すべての希『のぞ』みも、よろこびも、
かなしみさえもおき去ざりにして
生涯しょうがいをただ貧まずしく終おえゆく無数むすうの私わたくしらの生命いのちのように、
ああ、お前まえは散ちってゆく、
秋風あきかぜになぶられて、舞まい乍ながら……

空そらは、
こんなに青あおく、深ふかく、
豊ゆたかにみのっている穂波ほなみもあろうに。
落葉おちばよ、
お前まえのそのカラカラからからと鳴なる音おとは
どんなに、私わたくしの胸むねをたたき、
あわれを――、
はきよせられ、すて去さられるものの上うえにはせさせるか!

ああ、ひょうひょうと舞まい乍ながら、
むなしく散ちりゆく落葉おちばよ!
けれども、
お前まえのそのつもりつもった骸『むくろ』が、豊饒ほうじょうな土壌どじょうをつくり、
やがて、来くる春はるにそなえるように、
私わたくしたちの、このいためられた生活せいかつが
失うしなったものが、
地上ちじょうにみちあふれ、天地てんちを包つつむとき、
そこに、
新あたらしい世界せかいが……

おお落葉おちばよ、落葉おちばよ、
私わたくしらのもみくちゃな生せいよ、
苦悩くのうのカラからよ
秋風あきかぜにたたかれて、激はげしく、
散ちれよ、散ちれ!


(『詩し精神せいしん』一九三五せんきゅうひゃくさんじゅうご年ねん十一じゅういち・十二じゅうに月がつ合併がっぺい号ごうに発表はっぴょう 一九三六せんきゅうひゃくさんじゅうろく年ねん一月いちがつ前奏ぜんそう社しゃ刊かん『一九三五せんきゅうひゃくさんじゅうご年ねん詩集ししゅう』を底本ていほん)

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.54100(新字新仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001643/card54100.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001643/files/54100_56981.html 底本:「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」新日本出版社    1987(昭和62)年6月30日初版 底本の親本:「一九三五年詩集」前奏社    1936(昭和11)年1月 初出:「詩精神」    1935(昭和10)年11・12月合併号 入力:坂本真一 校正:雪森
■ 漢字の説明( Explanation of kanji )  
❷
秋
シュウ・秋あき・▲秋とき
autumnおーたむ ,fallふぉーる
❷
鳴
メイ・▲ミョウ・鳴なく・鳴なる・鳴ならす
roarろあ ,cryくらい
❸
去
キョ・コ・去さる・▲去ゆく・▲去のぞく
leavingりーびんぐ
❹
散
サン・散ちる・散ちらす・散ちらかす・散ちらかる・▲散ばら
scatterすかったー
❼
凡
ボン・㋙ハン・▲凡すべて・▲凡なみ・▲凡およそ
ordinaryおーでぃなりー ,commonこもん
❼
壌
ジョウ・▲壌つち
loamろーむ
❼
悩
ノウ・▲ドウ・悩なやむ・悩なやます
worryうぉーりー
❼
涯
ガイ・▲涯みぎわ・▲涯はて
horizonほらいぞん ,lifeらいふ
❼
穂
㋙スイ,穂ほ
earいやー ofおぶ riceらいす
❼
舞
ブ・▲ム・舞まう・舞まい・▲舞もてあそぶ
danceだんす ,flutterふらったー
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷秋MojnaviGoogleBing
2小2 ❷鳴MojnaviGoogleBing
3小3 ❸去MojnaviGoogleBing
4小4 ❹散MojnaviGoogleBing
5中学 ❼凡MojnaviGoogleBing
6中学 ❼壌MojnaviGoogleBing
7中学 ❼悩MojnaviGoogleBing
8中学 ❼涯MojnaviGoogleBing
9中学 ❼穂MojnaviGoogleBing
10中学 ❼舞MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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