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ルビ付きテキスト

第46話 経験派・織田作之助(新字新仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小1,❶: 町
小2,❷: 話
小3,❸: 乗 , 消 , 重 , 題
小5,❺: 布 , 財
中学,❼: 拠 , 稿

学習がくしゅうコンテンツ 

仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。


作品さくひんめい経験けいけん
著者ちょしゃめい織田おだ作之助さくのすけ

 かれ小説家しょうせつかだった。下手へた小説家しょうせつかだった。その証❼しょうこ実感じっかん尊❸そんちょうしすぎた。
 かれ掏摸『すり』小説しょうせつ構想こうそうした。が、どうも不安ふあんなので、掏摸すりかおたさに、まちた。
 ところが、一人ひとり掏摸すりらしいおとこ出会であわなかった。すごすごかえりの電車でんしゃって、ふとがつくと、❺❺さいふがない。られていたのだ。かれかなしむまえによろこんだ。
「これで掏摸すり小説しょうせつける」
 かれぶようにいえかえった。そしてつくえまえすわると、られたはずの❺❺さいふがちゃんと、のっている。ってるのをうっかりわすれていたのだ。
 かれ原❼げんこう用紙ようしだい一行いちぎょうかれている「掏摸すりはなし」とだいして、おもむろに、
「あわてもの
 とだいいた。そして、あわてもの主人公しゅじんこうにした小説しょうせつした。

コンテンツこんてんつ 


作品さくひんめい経験けいけん
著者ちょしゃめい織田おだ作之助さくのすけ

 かれ小説家しょうせつかだった。下手へた小説家しょうせつかだった。その証拠しょうこ実感じっかん尊重そんちょうしすぎた。
 かれ掏摸『すり』小説しょうせつ構想こうそうした。が、どうも不安ふあんなので、掏摸すりかおたさに、まちた。
 ところが、一人ひとり掏摸すりらしいおとこ出会であわなかった。すごすごかえりの電車でんしゃって、ふとがつくと、財布さいふがない。られていたのだ。かれかなしむまえによろこんだ。
「これで掏摸すり小説しょうせつける」
 かれぶようにいえかえった。そしてつくえまえすわると、られたはずの財布さいふがちゃんと、のっている。ってるのをうっかりわすれていたのだ。
 かれ原稿げんこう用紙ようしだい一行いちぎょうかれている「掏摸すりはなし」とだいして、おもむろに、
「あわてもの
 とだいいた。そして、あわてもの主人公しゅじんこうにした小説しょうせつした。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.47832(新字新仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000040/card47832.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/47832_36039.html 底本:「定本織田作之助全集 第六巻」文泉堂出版    1976(昭和51)年4月25日発行    1995(平成7)年3月20日第3版発行 入力:桃沢まり 校正:小林繁雄
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

チョウ・▲テイ・まち・▲あぜみち
townたうん

ワ・はなす・はなし
storyすとーりーtalkingとーきんぐspeachすぴーち

ジョウ・▲ショウ・る・せる
rideらいど

ショウ・える・
eraseいれーすdisappearでぃすあぴあturnたーん offおふ

ジュウ・チョウ・おもい・かさねる・かさなる
heavyへびーmultipleまるちぷる

ダイ・▲テイ
titleたいとるthemeてーま

フ・▲ホ・ぬの・▲
clothくろす

ザイ・㊥サイ・▲たから
wealthうぇるすfortuneふぉーちゅんgoodsぐっず

キョ・コ・▲る・▲よりどころ
relianceりらいあんすbackerばっかーpropぷろっぷ

稿
コウ・▲稿したがき・▲稿わら
draftどらふと copyこぴーmanuscriptまにゅすくりぷと
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小1 ❶MojnaviGoogleBing
2小2 ❷MojnaviGoogleBing
3小3 ❸MojnaviGoogleBing
4小3 ❸MojnaviGoogleBing
5小3 ❸MojnaviGoogleBing
6小3 ❸MojnaviGoogleBing
7小5 ❺MojnaviGoogleBing
8小5 ❺MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼稿MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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