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ルビ付きテキスト

第52話 私の仕事 松篁の仕事・上村松園(新字新仮名)


■ 伏字ふせじ漢字かんじ

※ ❶いち~から❻ろくは小1しょういち~から小6しょうろく、❼ななは中学ちゅうがくで覚おぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 半 , 細
小4,❹: 付 , 位
中学,❼: 倒 , 債 , 双 , 描 , 致 , 趣

■ 学習がくしゅうコンテンツ  

※ 読よみ仮名がなで漢字『かんじ』(『かんじ』)の様ように括弧かっこの付ついた漢字かんじは原書げんしょで読よみ仮名がなが付ついている漢字かんじです。


作品さくひん名めい:私わたくしの仕事しごと 松篁しょうこうの仕事しごと
著者ちょしゃ名めい:上村うえむら松園しょうえん

 二十にじゅう年ねん来らいの画が❼さい整理せいりと、皇后こうごう陛下へいかよりの御ご用命ようめいに依より、❼幅そうふく藤原ふじわら時代じだい美人びじん数名すうめいの揮亳きごう完成かんせいを期きするために、今度こんどは是非ぜひに謹製きんせい❼いたしたいと思おもいながら、遂ついに三さん年ねん許ばかりの歳月さいげつが過すぎて了しまいました。今年ことしは是非ぜひ共とも献上けんじょう❼いたさねばなりませぬので、只今ただいま下絵したえ浄書じょうしょ中ちゅうでございます。何分なにぶんいろいろの画❼がさいが積つもって居おりますので、たとえ❷分はんぶんなりとも片❹かたづけられたら又また出品画しゅっぴんがといゆう様ようなものにも手てを❹つけて見みたいと思おもいます。何なに分ぶん少しょう少しょうは落おち❹ついた気分きぶんで❼えがかなければ公開こうかいすべき大作たいさくなどは出来できません。
 今いまの若わかい者もののやっている事ことは、勝手かって気儘きままに任まかしてあるので、一所いっしょに❼えがいていても絵具えのぐかニカワ❹くらいを借かりに来くる❹くらいで殆ほとんど何なにをやっているのか分わからない程ほどです。以前いぜんと違ちがい水墨すいぼくの妙味みょうみとか雅❼がしゅがあるとかいゆうような事ことは顧かえりみられないで❷密さいみつ❼写びょうしゃだとか言いって❷ほそい線せんで❼えがき❼たおしてその上うえを塗ぬり潰つぶして行いくといゆうやり方かたで、今度こんどの出品しゅっぴんの椿つばきでも、大おおきな絹きぬのまん中なかに“トボン”と❼えがいてあるのだなぁとからかうと、反対はんたいに一寸ちょっと見みると面白おもしろいとか、❼おもむきがあるなどといゆうような詰つまらぬ絵えは❼えがかんと申もうします。
 今いまと以前いぜんとはその行方ゆくえが変かわって居おります。

(大正たいしょう十じゅう三さん年ねん)

■ コンテンツこんてんつ  


作品さくひん名めい:私わたくしの仕事しごと 松篁しょうこうの仕事しごと
著者ちょしゃ名めい:上村うえむら松園しょうえん

 二十にじゅう年ねん来らいの画が債さい整理せいりと、皇后こうごう陛下へいかよりの御ご用命ようめいに依より、双幅そうふく藤原ふじわら時代じだい美人びじん数名すうめいの揮亳きごう完成かんせいを期きするために、今度こんどは是非ぜひに謹製きんせい致いたしたいと思おもいながら、遂ついに三さん年ねん許ばかりの歳月さいげつが過すぎて了しまいました。今年ことしは是非ぜひ共とも献上けんじょう致いたさねばなりませぬので、只今ただいま下絵したえ浄書じょうしょ中ちゅうでございます。何分なにぶんいろいろの画債がさいが積つもって居おりますので、たとえ半分はんぶんなりとも片付かたづけられたら又また出品画しゅっぴんがといゆう様ようなものにも手てを付つけて見みたいと思おもいます。何なに分ぶん少しょう少しょうは落おち付ついた気分きぶんで描えがかなければ公開こうかいすべき大作たいさくなどは出来できません。
 今いまの若わかい者もののやっている事ことは、勝手かって気儘きままに任まかしてあるので、一所いっしょに描えがいていても絵具えのぐかニカワにかわ位くらいを借かりに来くる位くらいで殆ほとんど何なにをやっているのか分わからない程ほどです。以前いぜんと違ちがい水墨すいぼくの妙味みょうみとか雅趣がしゅがあるとかいゆうような事ことは顧かえりみられないで細密さいみつ描写びょうしゃだとか言いって細ほそい線せんで描えがき倒たおしてその上うえを塗ぬり潰つぶして行いくといゆうやり方かたで、今度こんどの出品しゅっぴんの椿つばきでも、大おおきな絹きぬのまん中なかに“トボンとぼん”と描えがいてあるのだなぁとからかうと、反対はんたいに一寸ちょっと見みると面白おもしろいとか、趣おもむきがあるなどといゆうような詰つまらぬ絵えは描えがかんと申もうします。
 今いまと以前いぜんとはその行方ゆくえが変かわって居おります。

(大正たいしょう十じゅう三さん年ねん)

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.49722(新字新仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000355/card49722.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000355/files/49722_34439.html 底本:「青帛の仙女」同朋舎出版    1996(平成8)年4月5日第1版第1刷発行 初出:「都市と芸術」    1924(大正13)年12月号 ※初出時の表題は「上村松園女史曰く画家談叢」です。 入力:川山隆 校正:鈴木厚司
■ 漢字の説明( Explanation of kanji )  
❷
半
ハン・半なかば
halfはーふ
❷
細
サイ・細ほそい・細ほそる・細こまか・細こまかい・▲細ささやか・▲細くわしい
slenderすれんだー ,slimすりむ
❹
付
フ・付つける・付つく・▲付あたえる
attachあたっち ,affixあふぃくす
❹
位
イ・位くらい
rankらんく ,throneすろーん ,gradeぐれーど
❼
倒
トウ・倒たおれる・倒たおす・▲倒さかさま・▲倒こける
fallふぉーる downだうん ,defeatでふぃーと
❼
債
サイ・▲債かり・▲債かし
debtでっと ,loanろーん ,bondsぼんず
❼
双
ソウ・双ふた・▲双ふたつ・双たぐい・▲双もろ・▲双ならぶ
twinsついんず ,pairぺあ
❼
描
ビョウ・描えがく・描かく
drawingどろーいんぐ
❼
致
チ・致いたす
letれっと ,goごー ,endえんど upあっぷ
❼
趣
シュ・▲ソク・趣おもむき・▲趣おもむく・▲趣うながす
attractiveあとらくてぃぶ ,tastefulてーすとふる
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷半MojnaviGoogleBing
2小2 ❷細MojnaviGoogleBing
3小4 ❹付MojnaviGoogleBing
4小4 ❹位MojnaviGoogleBing
5中学 ❼倒MojnaviGoogleBing
6中学 ❼債MojnaviGoogleBing
7中学 ❼双MojnaviGoogleBing
8中学 ❼描MojnaviGoogleBing
9中学 ❼致MojnaviGoogleBing
10中学 ❼趣MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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