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ルビ付きテキスト

第55話 少年に文化を嗣ぐこゝろを・中井正一(旧字新仮名)


■ 伏字ふせじ漢字かんじ

※ ❶いち~から❻ろくは小1しょういち~から小6しょうろく、❼ななは中学ちゅうがくで覚おぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小3,❸: 受 , 界
小4,❹: 博
小5,❺: 士
中学,❼: 傾 , 嗣 , 憶 , 瞬 , 腰 , 銘

■ 学習がくしゅうコンテンツ  

※ 読よみ仮名がなで漢字『かんじ』(『かんじ』)の様ように括弧かっこの付ついた漢字かんじは原書げんしょで読よみ仮名がなが付ついている漢字かんじです。


作品さくひん名めい:少年しょうねんに文化ぶんかを嗣つぐこゝころを
著者ちょしゃ名めい:中井なかい正一まさかず

 大塚おおつか金きん之の助すけ❹❺はかせに或ある雜誌ざっし記者きしゃが、❹❺はかせの一生いっしょうに最もっとも感❼かんめい深ふかかった記❼きおくは何なんでございますかとたずねた。
 ❹❺はかせは次つぎの樣ように答こたえられたそうである。
 ❹❺はかせの少年しょうねんの頃ころ、圖と書館しょかんへ行いって、本ほんを要求ようきゅうしたとき、館員かんいんが、部厚ぶあつい本ほんを持もち出だして來きて、未いまだ少年しょうねんの❹❺はかせに、その本ほんを差出さしだしたそうである。
 そのずっしり重おもい本ほんを❸取うけとったときの深ふかい感激かんげきは、今いま、尚なお❹❺はかせの胸むねの中なかに殘のこっているとの事ことである。これが、❹❺はかせ一生いっしょうを通つうじての最もっとも感❼かんめい深ふかい❼間しゅんかんであった。
 ❹❺はかせが、その❸うけられた手ての重おもみの中なかには、世❸せかいの文化ぶんか遺産いさんの重おもみが、同時どうじに音おともなく、❹❺はかせの全身ぜんしんにかゝかってゆくところのものがあったに違ちがいない。
 文化ぶんかを❼つぐこゝころが、この本ほんを通とおして、❹❺はかせの一生いっしょうを支配しはいするまでに、深ふかい影響えいきょうをあたえ、常つねに記❼きおくの中なかに、❹❺はかせはその重おもみを掌てのひらの中なかに感かんじつゞづけられているかも知しれない。❹❺はかせが、今いま、日本にほん文化ぶんか史しの中なかに持もたれている位置いちを思おもいあわせて、少年しょうねんの日ひの讀どく書しょが、いかに、民族みんぞくの文化ぶんかに重大じゅうだいな關かん連れんをもつかを、しみじみと感かんぜしめるのである。
 岩波いわなみ書店しょてんが、本❼ほんごしを入いれて、少年しょうねんの文庫ぶんこに力ちからを❼かたむけられることは、まことに私わたくしのよろこびとするところである。數かず限かぎりない少年しょうねんが、世❸せかいの文化ぶんかを❼ついだ❹❺はかせの感❼かんめいをくりかえし、❹❺はかせの跡あとを追おって、日本にほんの學❸がっかいに伸のし上あがってくる日ひを、私わたくしは、樂たのしく期待きたいするものである。

■ コンテンツこんてんつ  


作品さくひん名めい:少年しょうねんに文化ぶんかを嗣つぐこゝころを
著者ちょしゃ名めい:中井なかい正一まさかず

 大塚おおつか金きん之の助すけ博士はかせに或ある雜誌ざっし記者きしゃが、博士はかせの一生いっしょうに最もっとも感銘かんめい深ふかかった記憶きおくは何なんでございますかとたずねた。
 博士はかせは次つぎの樣ように答こたえられたそうである。
 博士はかせの少年しょうねんの頃ころ、圖と書館しょかんへ行いって、本ほんを要求ようきゅうしたとき、館員かんいんが、部厚ぶあつい本ほんを持もち出だして來きて、未いまだ少年しょうねんの博士はかせに、その本ほんを差出さしだしたそうである。
 そのずっしり重おもい本ほんを受取うけとったときの深ふかい感激かんげきは、今いま、尚なお博士はかせの胸むねの中なかに殘のこっているとの事ことである。これが、博士はかせ一生いっしょうを通つうじての最もっとも感銘かんめい深ふかい瞬間しゅんかんであった。
 博士はかせが、その受うけられた手ての重おもみの中なかには、世界せかいの文化ぶんか遺産いさんの重おもみが、同時どうじに音おともなく、博士はかせの全身ぜんしんにかゝかってゆくところのものがあったに違ちがいない。
 文化ぶんかを嗣つぐこゝころが、この本ほんを通とおして、博士はかせの一生いっしょうを支配しはいするまでに、深ふかい影響えいきょうをあたえ、常つねに記憶きおくの中なかに、博士はかせはその重おもみを掌てのひらの中なかに感かんじつゞづけられているかも知しれない。博士はかせが、今いま、日本にほん文化ぶんか史しの中なかに持もたれている位置いちを思おもいあわせて、少年しょうねんの日ひの讀どく書しょが、いかに、民族みんぞくの文化ぶんかに重大じゅうだいな關かん連れんをもつかを、しみじみと感かんぜしめるのである。
 岩波いわなみ書店しょてんが、本腰ほんごしを入いれて、少年しょうねんの文庫ぶんこに力ちからを傾かたむけられることは、まことに私わたくしのよろこびとするところである。數かず限かぎりない少年しょうねんが、世界せかいの文化ぶんかを嗣ついだ博士はかせの感銘かんめいをくりかえし、博士はかせの跡あとを追おって、日本にほんの學界がっかいに伸のし上あがってくる日ひを、私わたくしは、樂たのしく期待きたいするものである。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.46419(新字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001166/card46419.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001166/files/46419_28714.html 底本:「少年文學 圖書 第十四號 臨時増刊」岩波書店    1950(昭和25)年12月5日発行 入力:鈴木厚司 校正:染川隆俊
■ 漢字の説明( Explanation of kanji )  
❸
受
ジュ・▲ズ・受うける・受うかる
eceiveれしーぶ ,acceptあくせぷと
❸
界
カイ・▲界さかい
worldわーるど ,fieldふぃーるど
❹
博
ハク・㋙バク・▲博ひろい
doctorどくたー ,exhibitionえくしびしょん
❺
士
シ・▲士さむらい
gentlemanじぇんとるまん ,swordsmanすぉーどまん ,samuraiさむらい
❼
傾
ケイ・傾かたむく・傾かたむける・▲傾かしぐ・▲傾かたげる・▲傾くつがえる
tiltてぃると ,obliqueおぶりーく
❼
嗣
シ・▲嗣つぐ
inheritいんはーと
❼
憶
オク・▲憶おぼえる・▲憶おもう
memoriesめもりーず
❼
瞬
シュン・㋙瞬またたく・▲瞬まばたく・▲瞬まじろぐ・▲瞬しばたく・▲瞬しばたたく
nictationにくてーしょん ,momentもーめんと
❼
腰
㋙ヨウ・腰こし
lowerろわー backばっく ,waistうぇすと
❼
銘
メイ・▲ミョウ・▲銘しるす
engravedえんぐれーぶど signatureしぐねちゃ ,inscriptionいんすくりぷしょん
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小3 ❸受MojnaviGoogleBing
2小3 ❸界MojnaviGoogleBing
3小4 ❹博MojnaviGoogleBing
4小5 ❺士MojnaviGoogleBing
5中学 ❼傾MojnaviGoogleBing
6中学 ❼嗣MojnaviGoogleBing
7中学 ❼憶MojnaviGoogleBing
8中学 ❼瞬MojnaviGoogleBing
9中学 ❼腰MojnaviGoogleBing
10中学 ❼銘MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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