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第65話 榛名湖の公魚釣り・佐藤垢石(新字新仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小1,❶: 六 , 右
小5,❺: 往
小6,❻: 穴
中学,❼: 峠 , 揚 , 旬 , 浦 , 渋 , 繁

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仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。


作品さくひんめい榛名湖はるなこ公魚わかさぎ
著者ちょしゃめい佐藤さとう 垢石こうせき

 榛名湖はるなこ公魚『わかさぎ』りは非常ひじょう❼盛はんじょうである。
 じゅうがつ中❼ちゅうじゅんかられはじめたのであるが、がつ一杯いっぱいれるであろう。例年れいねんからみるとさかなそだちがたいそうよろしく、よんすん乃至ないし五寸ごすん平均へいきんもんめはある。
 毎日まいにちすくないでもさん四十よんじゅうにんおおにはしち八十はちじゅうにん湖上こじょう❶❺左往うおうさおうしてたいしたにぎわいである。それがきわめて初歩しょほひとでもいちにち❶十ろくじゅう『くだ』らない。名手めいしゅになると二百にひゃく以上いじょうるから、貫目かんめりである。
 本場ほんばといわれるかすみうらから東京とうきょう市中しちゅうてくるものは、かたちちいさいうえ❼味しぶみつよく、いろくろずんでいて、上等じょうとう食味しょくみっているとはいえない。
 ところがはる公魚わかさぎは、たけながうえにまるまるふとっていて、どうした関係かんけい❼味しぶみすくない。それから体色たいしょく若鮎わかあゆのようなひかりをっていて、あのかおりこそないがあじ若鮎わかあゆおなじである。
 白焼しらやきの橙酢『とうす』、からげ、ふらい、椀種わんだね味噌みそ田楽でんがくなににしてもおいしい。チリなべにしようものならおもわず晩酌ばんしゃくごす。
 十二じゅうにがつ中❼ちゅうじゅん木枯こがらしはこずえ効用こうようばしたころは、まだ湖面こめんこおりっていないから小舟こぶねみずかべてったが、一がつはいるとみずうみはすっかり氷結ひょうけつするから、あつこおりへ、一尺いっしゃく四方しほうくらいのあなをあけて、そこへかぎろすのである。ブルブルと面白おもしろいようにれる。
 榛名はるな富士ふじ相馬そうまやま、ヤセオネ、天神てんじんとうげかこまれた、ひろいなだらかな火口かこうげんすえに、えがいたようなばやし水際みずぎわうつしたうつくしい榛名湖はるなこで、公魚わかさぎ気分きぶんはまことに愉快ゆかいである。
 しかしこおりあなからるよりも、みずふねかべてほう面白おもしろい。すべてみゃくりで、ここ独特どくとく仕掛しかけである。

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作品さくひんめい榛名湖はるなこ公魚わかさぎ
著者ちょしゃめい佐藤さとう 垢石こうせき

 榛名湖はるなこ公魚『わかさぎ』りは非常ひじょう繁盛はんじょうである。
 じゅうがつ中旬ちゅうじゅんかられはじめたのであるが、がつ一杯いっぱいれるであろう。例年れいねんからみるとさかなそだちがたいそうよろしく、よんすん乃至ないし五寸ごすん平均へいきんもんめはある。
 毎日まいにちすくないでもさん四十よんじゅうにんおおにはしち八十はちじゅうにん湖上こじょう右往左往うおうさおうしてたいしたにぎわいである。それがきわめて初歩しょほひとでもいちにち六十ろくじゅう『くだ』らない。名手めいしゅになると二百にひゃく以上いじょうるから、貫目かんめりである。
 本場ほんばといわれるかすみうらから東京とうきょう市中しちゅうてくるものは、かたちちいさいうえ渋味しぶみつよく、いろくろずんでいて、上等じょうとう食味しょくみっているとはいえない。
 ところがはる公魚わかさぎは、たけながうえにまるまるふとっていて、どうした関係かんけい渋味しぶみすくない。それから体色たいしょく若鮎わかあゆのようなひかりをっていて、あのかおりこそないがあじ若鮎わかあゆおなじである。
 白焼しらやきの橙酢『とうす』、からげ、ふらい、椀種わんだね味噌みそ田楽でんがくなににしてもおいしい。チリちりなべにしようものならおもわず晩酌ばんしゃくごす。
 十二じゅうにがつ中旬ちゅうじゅん木枯こがらしはこずえ効用こうようばしたころは、まだ湖面こめんこおりっていないから小舟こぶねみずかべてったが、一がつはいるとみずうみはすっかり氷結ひょうけつするから、あつこおりへ、一尺いっしゃく四方しほうくらいのあなをあけて、そこへかぎろすのである。ブルブルぶるぶる面白おもしろいようにれる。
 榛名はるな富士ふじ相馬そうまやまヤセオネやせおね天神てんじんとうげかこまれた、ひろいなだらかな火口かこうげんすえに、えがいたようなばやし水際みずぎわうつしたうつくしい榛名湖はるなこで、公魚わかさぎ気分きぶんはまことに愉快ゆかいである。
 しかしこおりあなからるよりも、みずふねかべてほう面白おもしろい。すべてみゃくりで、ここ独特どくとく仕掛しかけである。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.46806(新字新仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001248/card46806.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001248/files/46806_27401.html 底本:「垢石釣り随筆」つり人ノベルズ、つり人社    1992(平成4)年9月10日第1刷発行 底本の親本:「釣随筆」市民文庫、河出書房    1951(昭和26)年8月発行 初出:「釣りの本」改造社    1938(昭和13)年発行 入力:門田裕志 校正:仙酔ゑびす
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

ロク・▲リク・つ・むっつ・むい
sixしっくす

ウ・ユウ・みぎ・▲たすける
rightらいと

オウ・▲く・▲いにしえ
goingごーいんぐtrafficとらふぃっくancientえぃんしゃんと

㊥ケツ・あな
holeほーるpitぴっと

とうげ
difficultでぃふぃかると partぱーとridgeりっじcrisisくらいしす

ヨウ・げる・がる
upliftingぁぷりふてぃんぐraiseらいずfriedふらいど

ジュン・シュン
seasonしーずんten-dayてんでぃ periodぴりぁど

▲ホ・うら
bayべいgulfがるふinletいんれっと

ジュウ・▲シュウ・しぶしぶい・しぶ
astringentぁすとりんじゃんとpersimmonぱしまん tanninたにん

ハン・▲しげる・▲わずらわしい
growぐろう thickしく
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
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Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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