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ルビ付きテキスト

第69話 鬼無菊・北村四海(新字新仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 昼
小3,❸: 宿 , 死
小6,❻: 翌
中学,❼: 慰 , 瓶 , 符 , 避 , 驚 , 麓

学習がくしゅうコンテンツ 

仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。


作品さくひんめいなしきく
著者ちょしゃめいきたむら かい

 信州『しんしゅう』戸隠『とがくし』山❼さんろくなる鬼無村『きなしむら』僻村『へきそん』は、❼暑ひしょとして中々『なかなか』『よ』土地『ところ』である、自分じぶんすうねん『ぜん』なつのこと脚気『かっけ』『た』め、保養ほようがてらに、すう週間しゅうかん此地『ここ』逗留『とうりゅう』していたことがあった。
 『ある』こと自分じぶん❷飯ひるめし『た』べて『のち』、あまりの徒然『とぜん』に、なぐさ半分はんぶんいまさかりとにわ咲乱『さきみだ』れているあかなつぎくさん『し』手折『たお』ってて、とこ花❼かびん『い』けてみた、やがてそれなりに自分じぶんはふらりと❸屋やどやて、やまほう散歩さんぽったのである、時間じかんばかりして❸屋やどやかえった、『す』自分じぶん部屋へやはいるとわたくしおどろいた、先刻『さっき』『い』けたばかりのなつぎく最早『もう』『しお』れていたのだ、一体『いったい』なつぎくはなは、そう中々『なかなか』『しお』れるものでない、それが、ものの時間じかん『へ』『あいだ』にかかる有様『ありさま』となったので、わたくしなんだか一種いっしゅいやな心持『こころもち』がして、そのはそれなり何処『どこ』へも『すご』した、しかし『さいわい』何事なにごと❻日よくじつになったが、『ま』昨日『きのう』こと『なん』だか『かか』るので、矢張『やはり』終日しゅうじつ家居『いえい』してくらしたが、その別段べつだん変事へんじ『おこ』らなかった、すると、その❻日よくじつ丁度『ちょうど』三日みっかあさ突然とつぜんわたくし実家じっかから手紙てがみで、従兄『いとこ』んだことをらしてた、書中『しょちゅう』にあるんだ刻限こくげんが、恰度『ちょうど』わたくし『い』けたなつぎく『しお』れたとき❼合ふごうするので、『いま』だに自分じぶん不思議ふしぎかん『た』えぬのである。

コンテンツこんてんつ 


作品さくひんめいなしきく
著者ちょしゃめいきたむら かい

 信州『しんしゅう』戸隠『とがくし』山麓さんろくなる鬼無村『きなしむら』僻村『へきそん』は、避暑ひしょとして中々『なかなか』『よ』土地『ところ』である、自分じぶんすうねん『ぜん』なつのこと脚気『かっけ』『た』め、保養ほようがてらに、すう週間しゅうかん此地『ここ』逗留『とうりゅう』していたことがあった。
 『ある』こと自分じぶん昼飯ひるめし『た』べて『のち』、あまりの徒然『とぜん』に、なぐさ半分はんぶんいまさかりとにわ咲乱『さきみだ』れているあかなつぎくさん『し』手折『たお』ってて、とこ花瓶かびん『い』けてみた、やがてそれなりに自分じぶんはふらりと宿屋やどやて、やまほう散歩さんぽったのである、時間じかんばかりして宿屋やどやかえった、『す』自分じぶん部屋へやはいるとわたくしおどろいた、先刻『さっき』『い』けたばかりのなつぎく最早『もう』『しお』れていたのだ、一体『いったい』なつぎくはなは、そう中々『なかなか』『しお』れるものでない、それが、ものの時間じかん『へ』『あいだ』にかかる有様『ありさま』となったので、わたくしなんだか一種いっしゅいやな心持『こころもち』がして、そのはそれなり何処『どこ』へも『すご』した、しかし『さいわい』何事なにごと翌日よくじつになったが、『ま』昨日『きのう』こと『なん』だか『かか』るので、矢張『やはり』終日しゅうじつ家居『いえい』してくらしたが、その別段べつだん変事へんじ『おこ』らなかった、すると、その翌日よくじつ丁度『ちょうど』三日みっかあさ突然とつぜんわたくし実家じっかから手紙てがみで、従兄『いとこ』んだことをらしてた、書中『しょちゅう』にあるんだ刻限こくげんが、恰度『ちょうど』わたくし『い』けたなつぎく『しお』れたとき符合ふごうするので、『いま』だに自分じぶん不思議ふしぎかん『た』えぬのである。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.49241(新字新仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001357/card49241.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001357/files/49241_33008.html 底本:「文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会」ちくま文庫、筑摩書房    2007(平成19)年7月10日第1刷発行 底本の親本:「怪談会」柏舎書楼    1909(明治42)年発行 入力:門田裕志 校正:noriko saito
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

チュウ・ひる
noonぬーんmiddayみどでぃdaytimeでいたいむ

宿
シュク・▲スク・宿やど宿やどる・宿やど
innいんlodgeらじaubergeおぅべぁじhostelはすとるhostelryはすたるり

シ・
deathですdeceaseでぃしーす

ヨク
nextねくすと timeたいむ

イ・なぐさめる・なぐさ
comfortかむふぁとconsoleかんそうる

ビン・▲ヘイ・▲かめ
bottleばとるearthenwareぁーすんぅえら potぽっとvaseべーすjarじゃー

フ・▲わりふ
markまーくcharmちゃーむamuleあみゅりと t

ヒ・ける・▲ける
avoidぁゔぉぃどescapeいすけいぷ

キョウ・おどろく・おどろかす
surpriseさぷらいずamazementぁめぃずまんとastonishmentぁすたにゅまんと

ロク・ふもと
foothillsふぅとひるずbaseべいす
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷MojnaviGoogleBing
2小3 ❸宿MojnaviGoogleBing
3小3 ❸MojnaviGoogleBing
4小6 ❻MojnaviGoogleBing
5中学 ❼MojnaviGoogleBing
6中学 ❼MojnaviGoogleBing
7中学 ❼MojnaviGoogleBing
8中学 ❼MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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