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第74話 瀬戸内海の海人・柳田国男(旧字旧仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 戸 , 船
小3,❸: 住
小4,❹: 崎
中学,❼: 但 , 喚 , 嫁 , 普 , 瀬 , 載

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仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。
  きゅう仮名かなづかいはしん仮名かなづかいにえている場合ばあいもあります。


作品さくひんめい瀬戸内海せとないかい海人あま
著者ちょしゃめい柳田やなぎだ 國男くにお

 藝州げいしゅう御手洗みたらい豐田とよたちょう大❹おおさき下島しもじま)のほとりいたはなしこの附近ふきんではリョウシとへば海人あまのことである。すなわあたまうえものせてあるく、ほか地方ちほうでイタダキ、オタタ、カネリなどといおんな一族いちぞく意味いみしてる。
 忠海ただのうみなどではこれをカベリとんでる。カベルとはうしてあたまものせるこうひょうする動詞どうしである。
 カベリは忠海ただのうみにもり、また尾道おのみちにも澤山たくさんる。交際こうさいすこしも❼通ふつうとちがはぬうにえたが、ないじつはどうであるからぬ。
 大❹おおさきじまでもまた生口いくちじまなどでも、常人じょうじんすこしもりょうをせず、眞宗しんしゅうさかんなむらではつりをさへいやがってしない。うみきわみながら、魚類ぎょるいことごとくリョウシのおんなの、あたませてるものをってる。
 ひがし生口いくちはら部落ぶらくで、こころみによんじゅう前後ぜんご婦人ふじんむかって、リョウシのところよめがあるかとたずねたら、あるもんですかとはっきりとこたえへた。
 おおちょうむら大❹おおさき下島しもじま)のむられにも、若干じゃっかんのリョウシがんでる。久友ひさともむら大字おおあざ久比くびからもってる。豐島とよしま豐濱とよはまむらぞくするしま)には多數たすうんでる。ただほか多數たすうしょぞくむらるとふのみで、家族かぞくとも始終しじゅうふねなかみ、いえものをたぬ。
 リョウシのふねではおんなともぎあるいてる。屋根やねいたいたふねもあった。
 ただおんなってるからみなリョウシとることは出來できぬ。此節このせつただ❷頭せんどう女房にょうぼうも、自由じゆうふねって亭主ていしゅたす監督かんとくしてる。あわび作業さぎょう此邊ここらにはすこしもくなった。來島くるしま❼❷せと近傍あたりではれるが、すべて潜水せんすい仕事しごとになってしまってる。
 アマとは、よほど注意ちゅういしてたけれども、ついくことをなかった。使つかはぬのであう。❼❷せと内海ないかい事情じじょうあかるい諸君しょくんからこれかんれんしたもっと精確せいかくはなしうけたまはりたい。

コンテンツこんてんつ 


作品さくひんめい瀬戸内海せとないかい海人あま
著者ちょしゃめい柳田やなぎだ 國男くにお

 藝州げいしゅう御手洗みたらい豐田とよたちょう大崎おおさき下島しもじま)のほとりいたはなしこの附近ふきんではリョウシりょうしへば海人あまのことである。すなわあたまうえものせてあるく、ほか地方ちほうイタダキいただきオタタおたたカネリかねりなどといおんな一族いちぞく意味いみしてる。
 忠海ただのうみなどではこれカベリかべりんでる。カベルかべるとはうしてあたまものせるこうひょうする動詞どうしである。
 カベリかべり忠海ただのうみにもり、また尾道おのみちにも澤山たくさんる。交際こうさいすこしも普通ふつうとちがはぬうにえたが、ないじつはどうであるからぬ。
 大崎おおさきじまでもまた生口いくちじまなどでも、常人じょうじんすこしもりょうをせず、眞宗しんしゅうさかんなむらではつりをさへいやがってしない。うみきわみながら、魚類ぎょるいことごとリョウシりょうしおんなの、あたませてるものをってる。
 ひがし生口いくちはら部落ぶらくで、こころみによんじゅう前後ぜんご婦人ふじんむかって、リョウシりょうしところよめがあるかとたずねたら、あるもんですかとはっきりとこたえへた。
 おおちょうむら大崎おおさき下島しもじま)のむられにも、若干じゃっかんリョウシりょうしんでる。久友ひさともむら大字おおあざ久比くびからもってる。豐島とよしま豐濱とよはまむらぞくするしま)には多數たすうんでる。ただほか多數たすうしょぞくむらるとふのみで、家族かぞくとも始終しじゅうふねなかみ、いえものをたぬ。
 リョウシりょうしふねではおんなともぎあるいてる。屋根やねいたいたふねもあった。
 ただおんなってるからみなリョウシりょうしることは出來できぬ。此節このせつただ船頭せんどう女房にょうぼうも、自由じゆうふねって亭主ていしゅたす監督かんとくしてる。あわび作業さぎょう此邊ここらにはすこしもくなった。來島くるしま瀬戸せと近傍あたりではれるが、すべて潜水せんすい仕事しごとになってしまってる。
 アマあまは、よほど注意ちゅういしてたけれども、ついくことをなかった。使つかはぬのであう。瀬戸せと内海ないかい事情じじょうあかるい諸君しょくんからこれかんれんしたもっと精確せいかくはなしうけたまはりたい。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.58320(旧字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/card58320.html https://www.aozora.gr.jp/cards/001566/files/58320_71447.html 底本:「定本柳田國男集 第一卷」筑摩書房    1963(昭和38)年9月25日発行 初出:「民族 第一巻第一号」民族発行所    1925(大正14)年11月1日 入力:フクポー 校正:きゅうり
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

コ・・▲
doorどーwindowぅいんどう leafりーふshutterしゃた

セン・ふねふな
shipしぷboatぼうとvesselゔえする

ジュウ・む・まう・▲とどまる
residenceれざだんすabidanceぁばいどんすdwellingどぅえりんぐresidencyれざだんしhousingはうじんぐ

▲キ・さき
smallすもーる peninsulaぱにんしゅらcapeけいぷforelandふぉーらんど

▲タン・▲ダン・ただし・ただ
howeverはうえゔぁaloneぁろうんentirelyいんたいぁりexclusivelyいくすくるーしぶり

カン・▲ぶ・▲さけぶ・▲わめ
summonさまんscreamすくりーむ

㋙カ・よめとつ
daughterだーたー inいん lawらーbrideぶらいどwifeわいふ

フ・▲あまね
usuallyゆーじゅぁりwidelyわいどりgenerallyじぇんらりeverywhereえぶりぅえぁuniversallyゆーなゔぁーさりー

▲ライ・
shallowsしゃろうずshoalしょうるriffleりふる

サイ・せる・る・▲しるす・▲とし
loadろぅど upぁぷladeれどrecordれかど
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷MojnaviGoogleBing
2小2 ❷MojnaviGoogleBing
3小3 ❸MojnaviGoogleBing
4小4 ❹MojnaviGoogleBing
5中学 ❼MojnaviGoogleBing
6中学 ❼MojnaviGoogleBing
7中学 ❼MojnaviGoogleBing
8中学 ❼MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼MojnaviGoogleBing
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Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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