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ルビ付きテキスト

第80話 貝殻追放・水上滝太郎(旧字旧仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小1,❶: 貝
小3,❸: 旅 , 筆 , 習
小6,❻: 捨
中学,❼: 埋 , 振 , 据 , 暇 , 甘

学習がくしゅうコンテンツ 

仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。
  きゅう仮名かなづかいはしん仮名かなづかいにえている場合ばあいもあります。


作品さくひんめい貝殼かいがら追放ついほう海上かいじょう日記にっき」のじょ
著者ちょしゃめい水上みなかみ 瀧太郎たきたろう

 大正たいしょう元年がんねんあき北米ほくべい合衆がっしゅうこくわたどうさんねん初夏しょかころまで東部とうぶマサチュセツしゅうケムブリツヂの學校がっこうちょう下宿げしゅくかいいちねんあまりをおくったあいだいたものをあつめて一册いっさつとした。
 そのころ自分じぶんはそれまでいた自分じぶん作品さくひん誇張こちょうげん冷汗ひやあせおぼえると同時どうじじょうおこなはるる小説しょうせつきょく評論ひょうろんたぐいこうどうかついやがさしつとめて自分じぶんって慣❸かんしゅうてき技巧ぎこう❼❻ふりすてようとかんがへた。所謂いわゆる小説しょうせつらしい小説しょうせつやお芝居しばいらしいきょく絶縁ぜつえんするめの消極しょうきょくてき手段しゅだんとして日記にっきしるこころもちいてようとおもった。このあつまりおさめたよんぺんならいぞうのつもりでいたおびただしいげん稿こうなかいちである。「船中せんちゅう」と「同窓どうそう」は中途ちゅうといやになって『や』めたのをあと加❸かひつ稿こうりょうし「にれ樹蔭じゅいん」はそのころ日記にっきなかからひろあつめたかのなつ小景しょうけいじょしたものでこれだけはあたらしくいたとほうてきとうかもしれない。いれにしても作品さくひん内容ないよう素材そざい自分じぶん想像そうぞう所産しょさんであるからこれを自分じぶん日記にっきこと出來できないが創作そうさく態度たいどいたっては❸客りょかく❸舍やどや一室いっしつにそのその見聞けんぶん手帳てちょうしるすのとかはらなかった。ひょう調じょう枯淡こたんぐるのそしり作者さくしゃあまんじてくるところである。このたび一册いっさつまとめて出版しゅっぱんすることになったのでさんくりかえしてんだが不相變あいかわらず自分じぶん滿足まんそくさせなかった。こんなものをほんにするのははずかしくもあるが同時どうじまたこれらの作品さくひんいた當時とうじ自分じぶん自身じしんなつかしむよすがとして流石さすががたくもおもはれる。ふゆゆきうずもれなつあせこらがたにれ樹蔭じゅいんまずしき宿しゅく西向にしむきまどつくえがくぎょうふでった自分じぶん姿すがた彷彿ほうふつとしてうかんでる。このあつまりことになったのもしゅとして自分じぶん自身じしんかぎりなくこいしくおもこころもちもとづくのである。(大正たいしょうろくねんあき

   ――「三田みた文學ぶんがく大正たいしょうろくねんじゅういちがつごう

コンテンツこんてんつ 


作品さくひんめい貝殼かいがら追放ついほう海上かいじょう日記にっき」のじょ
著者ちょしゃめい水上みなかみ 瀧太郎たきたろう

 大正たいしょう元年がんねんあき北米ほくべい合衆がっしゅうこくわたどうさんねん初夏しょかころまで東部とうぶマサチュセツまさちゅせつしゅうケムブリツヂけむぶりつぢ學校がっこうちょう下宿げしゅくかいいちねんあまりをおくったあいだいたものをあつめて一册いっさつとした。
 そのころ自分じぶんはそれまでいた自分じぶん作品さくひん誇張こちょうげん冷汗ひやあせおぼえると同時どうじじょうおこなはるる小説しょうせつきょく評論ひょうろんたぐいこうどうかついやがさしつとめて自分じぶんって慣習かんしゅうてき技巧ぎこう振捨ふりすてようとかんがへた。所謂いわゆる小説しょうせつらしい小説しょうせつやお芝居しばいらしいきょく絶縁ぜつえんするめの消極しょうきょくてき手段しゅだんとして日記にっきしるこころもちいてようとおもった。このあつまりおさめたよんぺんならいぞうのつもりでいたおびただしいげん稿こうなかいちである。「船中せんちゅう」と「同窓どうそう」は中途ちゅうといやになって『や』めたのをあと加筆かひつ稿こうりょうし「にれ樹蔭じゅいん」はそのころ日記にっきなかからひろあつめたかのなつ小景しょうけいじょしたものでこれだけはあたらしくいたとほうてきとうかもしれない。いれにしても作品さくひん内容ないよう素材そざい自分じぶん想像そうぞう所産しょさんであるからこれを自分じぶん日記にっきこと出來できないが創作そうさく態度たいどいたっては旅客りょかく旅舍やどや一室いっしつにそのその見聞けんぶん手帳てちょうしるすのとかはらなかった。ひょう調じょう枯淡こたんぐるのそしり作者さくしゃあまんじてくるところである。このたび一册いっさつまとめて出版しゅっぱんすることになったのでさんくりかえしてんだが不相變あいかわらず自分じぶん滿足まんそくさせなかった。こんなものをほんにするのははずかしくもあるが同時どうじまたこれらの作品さくひんいた當時とうじ自分じぶん自身じしんなつかしむよすがとして流石さすががたくもおもはれる。ふゆゆきうずもれなつあせこらがたにれ樹蔭じゅいんまずしき宿しゅく西向にしむきまどつくえがくぎょうふでった自分じぶん姿すがた彷彿ほうふつとしてうかんでる。このあつまりことになったのもしゅとして自分じぶん自身じしんかぎりなくこいしくおもこころもちもとづくのである。(大正たいしょうろくねんあき

   ――「三田みた文學ぶんがく大正たいしょうろくねんじゅういちがつごう

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.42142(旧字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000800/card42142.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000800/files/42142_17585.html 底本:「水上瀧太郎全集 九卷」岩波書店    1940(昭和15)年12月15日発行 入力:柳田節 校正:門田裕志
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

▲バイ・かい
shellfishしぇるふぃっしゅshellしぇる

リョ・▲ロ・たび・▲いくさ
journeyじゃーにtravelとらゔぁるtourとぅぁtripとりぷ

ヒツ・ふで
writingらいてぃんぐ brushぶらしゅ

シュウ・▲ジュウ・なら
learnらーんacquireぁくわいぁlarnらーん

シャ・てる・▲ほどこ
abandonぁばんだんforsakeふぁせいく

マイ・める・まる・もれる・▲うずもれる・▲うずまる・▲ける
buryべりembedいむべどbeびー filledふぃるどbeびー buriedべりど

シン・る・るう・れる・▲すく
shakeしぇいくswingすぅいんぐwaveぅえいゔoscillationあされいしゃん

キョ・える・わる
settleせとるsitしと

カ・ひま・▲いとま
freeふりーspareすぺぁ timeたいむleisureりーじゃ

カン・まい・あまえる・あまやかす・▲うま
sweetすぅいーとbeびー spoiledすぽいるどaffectionateぁふぇくしゃなと
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小1 ❶MojnaviGoogleBing
2小3 ❸MojnaviGoogleBing
3小3 ❸MojnaviGoogleBing
4小3 ❸MojnaviGoogleBing
5小6 ❻MojnaviGoogleBing
6中学 ❼MojnaviGoogleBing
7中学 ❼MojnaviGoogleBing
8中学 ❼MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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