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ルビ付きテキスト

第81話 女の顔・黒田清輝(新字旧仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 肉
小3,❸: 鼻
小5,❺: 情
小6,❻: 背
中学,❼: 却 , 塗 , 嫌 , 眉 , 詰 , 郭

学習がくしゅうコンテンツ 

仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。
  きゅう仮名かなづかいはしん仮名かなづかいにえている場合ばあいもあります。


作品さくひんめいおんなかお
      ――わたくしきな――
著者ちょしゃめい黒田くろだ 清輝せいき

 その時代じだいによって多少たしょう相異そういはあるがクラシツクのほうではただしいかたち標準ひょうじゅんとしてる。しかわたくしには、このクラシツクのほうでいただしいかたちは、どうも厳格げんかくすぎるうなかんじがする。
 すなわちこれを日本にほんじん応用おうようすると混血児『あひのこ』になってしまきらといふではないがにするにはすこもうしぶんがある。のパツチリした、はなたかい、所謂いわゆる世間せけん美人びじんは、どうもかたすぎるとおも
 とってまた口元くちもと大変たいへん愛嬌あいきょうがあるとか、『にが』みばしってるとかいうな、とく表❺ひょうじょういちじるしいかおかない。ひとくちと、うすぼんやりしたかおきです。
 ほそい、生際『はへぎは』まゆがキツパリとったうにかおはいけない。❸筋はなすじとおりすぎたのもかえってよくない。ちゅうにくちゅうぜいといことも勿論もちろん程度ていど問題もんだいではあるが、どちらかといへば、中❻ちゅうぜいすこたかくらい中❷ちゅうにくすこ優形やさがたほうがいおも。つまりスラッとした姿すがたうつくしいおんながい
 このは、ルネツサンス時代じだいのフロオレンスの絵画かいがによくあるうな上品じょうひんなスツキリとしたゆう――意気いきでない、野暮やぼやさしさをえがうとおもって、くびなぞもおもってながくし、かみなども『わざ』時代じだいあらわ一定いっていかたはさないで、かお輪❼りんかくなども出来できるだけ自分じぶんかんがへてうになおしたが、どうもじゅうぶんにはわたくしこころちがあらわれなかった。
 しかうれしいとか、かなしいとかの表❺ひょうじょうのないところまではったとおもなんへば、かお一体いったいづまってるかとおもやさしみといてんけてる。ひん十分じゅうぶんでない。わたくしとしては、モウすこけたじょうひんところがほしかった。
 一体いったい東京とうきょうおんなあごみじかくっていけない。もっともあまりながぎてもこまるが、どちらかとへばすこながくらいなのがいい。京都きょうとには、わざひょうじょうころしてうなおんながよくあるが、あれは中々なかなかおも。(なみだん

コンテンツこんてんつ 


作品さくひんめいおんなかお
      ――わたくしきな――
著者ちょしゃめい黒田くろだ 清輝せいき

 その時代じだいによって多少たしょう相異そういはあるがクラシツクくらしつくほうではただしいかたち標準ひょうじゅんとしてる。しかわたくしには、このクラシツクくらしつくほうでいただしいかたちは、どうも厳格げんかくすぎるうなかんじがする。
 すなわちこれを日本にほんじん応用おうようすると混血児『あひのこ』になってしまきらといふではないがにするにはすこもうしぶんがある。パツチリぱつちりした、はなたかい、所謂いわゆる世間せけん美人びじんは、どうもかたすぎるとおも
 とってまた口元くちもと大変たいへん愛嬌あいきょうがあるとか、『にが』みばしってるとかいうな、とく表情ひょうじょういちじるしいかおかない。ひとくちと、うすぼんやりしたかおきです。
 ほそい、生際『はへぎは』まゆキツパリきつぱりったうにかおはいけない。鼻筋はなすじとおりすぎたのもかえってよくない。ちゅうにくちゅうぜいといことも勿論もちろん程度ていど問題もんだいではあるが、どちらかといへば、中背ちゅうぜいすこたかくらい中肉ちゅうにくすこ優形やさがたほうがいおも。つまりスラッすらっとした姿すがたうつくしいおんながい
 このは、ルネツサンスるねつさんす時代じだいフロオレンスふろおれんす絵画かいがによくあるうな上品じょうひんスツキリすつきりとしたゆう――意気いきでない、野暮やぼやさしさをえがうとおもって、くびなぞもおもってながくし、かみなども『わざ』時代じだいあらわ一定いっていかたはさないで、かお輪郭りんかくなども出来できるだけ自分じぶんかんがへてうになおしたが、どうもじゅうぶんにはわたくしこころちがあらわれなかった。
 しかうれしいとか、かなしいとかの表情ひょうじょうのないところまではったとおもなんへば、かお一体いったいづまってるかとおもやさしみといてんけてる。ひん十分じゅうぶんでない。わたくしとしては、モウもうすこけたじょうひんところがほしかった。
 一体いったい東京とうきょうおんなあごみじかくっていけない。もっともあまりながぎてもこまるが、どちらかとへばすこながくらいなのがいい。京都きょうとには、わざひょうじょうころしてうなおんながよくあるが、あれは中々なかなかおも。(なみだん

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.1425(新字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000257/card1425.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000257/files/1425_7948.html 底本:「日本の名随筆40 顔」作品社    1986(昭和61)年2月25日第1刷発行    1989(平成元)年10月31日第7刷発行 底本の親本:「絵画の将来」中央公論美術出版    1983(昭和58)年6月 入力:渡邉 つよし 校正:門田裕志
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

ニク・▲ジク・▲しし
meetみーとfleshふれしゅ

㊥ビ・はな・▲はじ
noseのうずsnoutすなうとmuzzleまずる

ジョウ・㋙セイ・なさけ・▲こころ・▲おもむき
loveらぶfeelingふぃーりんぐemotionいもうしゃん

ハイ・せい・㊥そむく・㊥そむける・▲うしろ
backばくthe backばくdorsumどーさむtergumたーがむ

キャク・▲しりぞく・▲しりぞける・▲かえって
rejectりじぇくとratherらざ

ト・る・▲どろ・▲まみれる・▲まぶす・▲みち
paintingぺいんてぃんぐcoatingこうてぃんぐ

ケン・ゲン・きらう・いや・▲うたが
dislikeでぃすらいくreluctantりらくたんとunpleasantぁんぷれずんとdisagreeableでぃさぐりーぁぶる

㋙ビ・ミ・まゆ・▲ふち・▲としよ
eyebrowあいぶらう

㋙キツ・める・まる・む・▲なじ
cloggedくらーぐどbeびー blockedぶらくとshortenしょーとんblameぶれいむaccuseぁきゅーず

カク・▲くるわ
outlineあうとらいんvallumゔぁらむanぁん enclosureいんくろうじゃ
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷MojnaviGoogleBing
2小3 ❸MojnaviGoogleBing
3小5 ❺MojnaviGoogleBing
4小6 ❻MojnaviGoogleBing
5中学 ❼MojnaviGoogleBing
6中学 ❼MojnaviGoogleBing
7中学 ❼MojnaviGoogleBing
8中学 ❼MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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