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ルビ付きテキスト

第92話 赤い牛・田中貢太郎(新字新仮名)


伏字ふせじ漢字かんじ

いちからろく小1しょういちから小6しょうろくなな中学ちゅうがくおぼえる常用じょうよう漢字かんじです。
小2,❷: 午 , 晴 , 牛
小4,❹: 伝
小5,❺: 減
中学,❼: 凄 , 叱 , 替 , 某 , 渦

学習がくしゅうコンテンツ 

仮名がな漢字『かんじ』(『かんじ』)のよう括弧かっこいた漢字かんじ原書げんしょ仮名がないている漢字かんじです。
  きゅう仮名かなづかいはしん仮名かなづかいにえている場合ばあいもあります。


作品さくひんめいあかうし
著者ちょしゃめい田中たなか こうろう

 長野ながのけん上田うえだにある上田うえだじょうは、名将めいしょう真田さなだ幸村ゆきむらきょじょうとしてられているが、その上田うえだじょうほりみず明治めいじ初年しょねんになって、『ほ』そうとことになった。そして、いよいよそのになると、附近ふきんひとびとは好奇こうきしんられて、早朝そうちょうからつだいやら見物けんぶつやらでしかけてた。
 そのあさからからっとれたこう天気てんきで、気候きこう初夏しょからしくあたたかだったので、ひとびとはおまつさわぎで『ぼし』をはじめた。そのために作業さぎょうはずんずんはかどって、みずるにしたがっておおきなこいおどりあがったり、おおなまずいたりして、ほり周囲『まわり』にはいたるところに喊声『かんせい』があがった。
 そのわたくしちちも、面白おもしろ半分はんぶんその手❹てつだいにっていたが、正❷しょうごちかくなってほりみずひざしたぐらいにったときちち周囲しゅういにいたひとびとが異様いようこえてた。るとちちのいるところからさん『げん』ばかりまえほうあたって、『ひと』ところみず一間いっけんはんばかりのえんえがいてうずいていた。
なんだろう)
 と、ちちおもった瞬間しゅんかん物❼ものすご水音みずおとてながら、そのうずりあがるとおももなく、全身ぜんしん真紅しんくいろをした動物どうぶつ半身はんしんあらわした。それは、ひたいふとほんつののあるおおきなうしであった。ひとびとはおどろいてそうとしたが、うしほうでもおどろいたのか、ほりからけあがって、千曲『ちくま』がわびこみ、『や』のようにそのながれをおよわたって、小牧こまきやまえ、それから須川すかわいけかくしてしまった。
 いまでもそのぼしときに、現場げんばっていてあかうしたというひとがある。わたくし少年しょうねんときによくそのはなしかされたものだが、どうしてもしんじることができないので、つくばなしだろうとってちちしかられたことがある。わたくしちちはいいかげんなことひとでないから、『も』しかすると河馬『かば』のような水棲すいせい動物どうぶつであったかもわからないとおもうが、それにしても河馬かば日本にほんにいるというはなしかないので、どうにも解釈かいしゃくがつきかねる。(植田うえだ❼氏ぼうしだん

コンテンツこんてんつ 


作品さくひんめいあかうし
著者ちょしゃめい田中たなか こうろう

 長野ながのけん上田うえだにある上田うえだじょうは、名将めいしょう真田さなだ幸村ゆきむらきょじょうとしてられているが、その上田うえだじょうほりみず明治めいじ初年しょねんになって、『ほ』そうとことになった。そして、いよいよそのになると、附近ふきんひとびとは好奇こうきしんられて、早朝そうちょうからつだいやら見物けんぶつやらでしかけてた。
 そのあさからからっとれたこう天気てんきで、気候きこう初夏しょからしくあたたかだったので、ひとびとはおまつさわぎで『ぼし』をはじめた。そのために作業さぎょうはずんずんはかどって、みずるにしたがっておおきなこいおどりあがったり、おおなまずいたりして、ほり周囲『まわり』にはいたるところに喊声『かんせい』があがった。
 そのわたくしちちも、面白おもしろ半分はんぶんその手伝てつだいにっていたが、正午しょうごちかくなってほりみずひざしたぐらいにったときちち周囲しゅういにいたひとびとが異様いようこえてた。るとちちのいるところからさん『げん』ばかりまえほうあたって、『ひと』ところみず一間いっけんはんばかりのえんえがいてうずいていた。
なんだろう)
 と、ちちおもった瞬間しゅんかん物凄ものすご水音みずおとてながら、そのうずりあがるとおももなく、全身ぜんしん真紅しんくいろをした動物どうぶつ半身はんしんあらわした。それは、ひたいふとほんつののあるおおきなうしであった。ひとびとはおどろいてそうとしたが、うしほうでもおどろいたのか、ほりからけあがって、千曲『ちくま』がわびこみ、『や』のようにそのながれをおよわたって、小牧こまきやまえ、それから須川すかわいけかくしてしまった。
 いまでもそのぼしときに、現場げんばっていてあかうしたというひとがある。わたくし少年しょうねんときによくそのはなしかされたものだが、どうしてもしんじることができないので、つくばなしだろうとってちちしかられたことがある。わたくしちちはいいかげんなことひとでないから、『も』しかすると河馬『かば』のような水棲すいせい動物どうぶつであったかもわからないとおもうが、それにしても河馬かば日本にほんにいるというはなしかないので、どうにも解釈かいしゃくがつきかねる。(植田うえだ某氏ぼうしだん

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.45547(新字新仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000154/card45547.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000154/files/45547_41051.html 底本:「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」学研M文庫、学習研究社    2003(平成15)年10月22日初版発行 底本の親本:「新怪談集 実話篇」改造社    1938(昭和13)年 入力:Hiroshi_O 校正:noriko saito
■ 漢字の説明( Explanation of kanji ) 

ゴ・▲うま・▲ひる
the Horseほーすsouthwardさうすわどnoonぬーんmiddayみどでぃ

セイ・れる・らす
sunnyさにsunshineさんしゃいんfairふぇぁ weatherぅえざgoodぐど weatherぅえざtemperatenessてむぷらとなす

ギュウ・▲ゴ・うし
cattleきゃとるcowかうbovineぼうゔぁいん

デン・つたわる・つたえる・つたう・▲つて
biographyばいあぐらふぃlifeらいふ historyひすとりcommunicateかみゅーなけいとteachてぃーち

ゲン・る・らす
reductionりだくしゃんdecreaseでぃくりーずreduceりでぃゅーすscaleすけーる downだうん

セイ・▲すさまじい・▲すごい・▲すごむ・▲さむ
superbすぱーぶmarvelousまーゔらすhorribleほーらぶるfrightfulふらいとふぁるawfulおーふぁるfrighteningふらいとにんぐamazingぁめいじんぐ

シツ・▲シチ・しか
scoldすこうるどlambastらむべいすとrebukeりびゅーくreprimandれぷらみゃんど

タイ・▲テイ・える・わる
replacementりぷれいすまんとchangeちぇいんじexchangeいくすちゃいんじsubstituteさぶすたてぃゅーとspareすぺぁ

ボウ・▲それがし・▲なにがし
certainさーとん

㋙カ・うず
vortexゔぉーてくすwhirlpoolわーるぷーるswirlすわーるeddyえでぃ
(付記,Note)
※ 最初の行は音訓読みを記載しています。カタカナは音読み、ひらがなルビは訓読みです。
※ ▲は常用外の読み方です。㊥は中学・㋙は高校で習う読み方です。漢検・漢字辞典の記載に準拠しています。
※ ▲ is a non-regular reading. ㊥ is the reading learned in junior high school and ㋙ is the reading learned in high school.
■ 漢字のリンク集/書き順&意味 , stroke order:Mojinavi , Another languages:Google , Bing
1小2 ❷MojnaviGoogleBing
2小2 ❷MojnaviGoogleBing
3小2 ❷MojnaviGoogleBing
4小4 ❹MojnaviGoogleBing
5小5 ❺MojnaviGoogleBing
6中学 ❼MojnaviGoogleBing
7中学 ❼MojnaviGoogleBing
8中学 ❼MojnaviGoogleBing
9中学 ❼MojnaviGoogleBing
10中学 ❼MojnaviGoogleBing
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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