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ダイ3ワ ショサイ ト ホシ・キタハラ ハクシュウ


学習ガクシュウコンテンツ 


作品サクヒンメイ書斎ショサイホシ
著者チョシャメイ北原キタハラ白秋ハクシュウ

❷❷トウキョウホシさんがないよ。』
 と、うちのよくふ。
『ああ、ああ、オレ❷❼ショサイがない。』
 これそのチチであるわたくし❷❸ジシン❼❸タンソクである。
 まつたく❶❶❷オダワラ❶❸テンジンヤマあらゆる❷❻セイザモトメグまれてた。❶❹サンケイ❷❷フウコウともにすぐれてアカるかつたが、❸❶カイジョウのバルコンや❼❷シンシツからアオ❷❶ヨゾラウツクしさも❺❹カクベツであつた。これが❷❷トウキョウてほとんど❶❹ミウシナつてシマつた。それでもまだこの❷❶タニナカ❺❷ボチいい。トキとするとれわたつた❹❶マンゲツヨルなどに❶❶ミズミズしい❶❷モクセイマバタきもヒカる。だが、うちのニワから⓫❺❻ボダイジュシイ❶❶コダチサエギられて、ボウやのヒトミウツらない。
 それから、ここのウチである。ニワヒロく、ちこんで、ヒサシフカい、それ❷❷コフウ❼❼ユウガオモムきもあり、ユタかな❶❸キモチもあるが、どのムロにも❶❷ニッコウ❷❺チョクセツアタらない。シッけもする。❸❹ゼンゼン❸❸❹カイホウテキであつた❶❶❷オダワラウチあまりにチガぎる。あちらで❼❺シンサイ❷❼ハンカイしても、それ❶❻コドモがあるいてもれて❸❶カイジョウ❶❷セイカツあつたが、キワめて❶❸キヤス❹❹キセツカゼヒカリとをれてた。さうしてまるで❶❶クサキ❼❶コンチュウ❸❸セカイ❷❹マガリでもしてるやうにタノしまれた。❷❼ショサイにしてからが❺❷イマにもなり、❼❷シンシツにもなり、❸❷キャクマにもなり、❷❺ショクドウにもなり、❶❻コドモ❸❼ユウギシツでもあつたが、それにまた❷❷コウジョウたやうであつたが、その❺❹ザツゼンとしたナカにほんたうのいい❺❶トウイツがあつた。❷❸ライキャクマレだし、❸❶モノオトせず、❺❸ジョウジュウ❷❷ドクショ❷❼シサク❻❷ソウサクとに❷❷ジブンアソばせてられた。ここるとそれらのすべてがウシナはれた。
 ❶❶ゴガツからこのカタ、わたくしまだこのウチにしつくりとみつかないのだ。どのムロにも❺❶トウイツありキチンとしてるが、それだけカエつて❺❼アッパクされるやうながする。どのムロツクエ❼ゑスエてもちつけないで、あつちスワつてたり、こつちコシかけてたりしてる。❺❹ザツゼンナニもかもホウりつぱなしにしてムロいのである。びがあつていい『ウチ』だとオモふが、それだけまたうつかりとできないのである。
 それに❸❷❶メンカイニンオオいことオオ❶❶サンジュウニンもある。ハジめのコロカネせびりまでが❼❷ズイブンた。❸❷❶メンカイビ❶❷モクヨウときめてモントビラフダけたが、ほんたうにこちらの❸❸シゴトタメカンガてくれさうなヒトさしてりさうにないのでしみじみコマつてシマふ。そしてかんじんの❸❷❶メンカイビわざわざ❷❷ジカンをあけてつてるのにほんの❶❶ヒトリ❶❶フタリしかしない。さうして❸❷❶メンカイビフダまでダレかがヌスんでつてシマつた。
 わたくしここしててから❶❻ヒトバンちついた❷❷ジブン❷❷ジカンつたことない。
 こんなコトツヅいたら、わたくしホロびるほかはないのだ。❸❸シゴトができないくらクルしいことない。❸❶ビョウキになりさうだ。
 つくづく❶❶❷オダワラはれた❶⓫ミミズクウチカエりたくなつてる。

コンテンツこんてんつ 


作品サクヒンメイ書斎ショサイホシ
著者チョシャメイ北原キタハラ白秋ハクシュウ

東京トウキョウホシさんサンないよナイヨ。』
 うちのウチノよくヨク
ああアアああアアオレ書斎ショサイがないガナイ。』
 これコレそのソノチチであるわたくしデアルワタクシ自身ジシン嘆息タンソクであるデアル
 まつたくマツタク小田原オダワラ天神テンジンヤマあらゆるアラユル星座セイザモトメグまれマレ山景サンケイ風光フウコウともトモすぐれてスグレテアカかつたカツタ階上カイジョウバルコンばるこん寝室シンシツからカラアオ夜空ヨゾラウツクしさシサ格別カクベツあつたアツタこれがコレガ東京トウキョウほとんどホトンド見失ミウシナつてツテシマつたツタそれでもソレデモまだマダこのコノ谷中タニナカ墓地ボチいいイイトキするとスルトわたつたワタツタ満月マンゲツヨルなどナド水水ミズミズしいシイ木星モクセイマバタヒカだがダガうちウチニワからカラ菩提樹ボダイジュシイ木立コダチサエギられラレボウヒトミウツらないラナイ
 それからソレカラここのココノウチであるデアルニワヒロこんでコンデヒサシフカそれソレ古風コフウ幽雅ユウガオモムありアリユタかなカナ気持キモチあるがアルガどのドノムロにもニモ日光ニッコウ直接チョクセツアタらないラナイ湿シッするスル全然ゼンゼン開放的カイホウテキあつたアツタ小田原オダワラウチあまりアマリチガぎるギルあちらアチラ震災シンサイ半壊ハンカイしてもシテモそれソレ子供コドモあるいてアルイテれてレテ階上カイジョウ生活セイカツあつたアツタキワめてメテ気安キヤス季節キセツカゼヒカリとをトヲれてレテさうしてサウシテまるでマルデ草木クサキ昆虫コンチュウ世界セカイ間借マガリでもデモしてシテやうヤウタノしまれシマレ書斎ショサイしてシテからカラ居間イマにもニモなりナリ寝室シンシツにもニモなりナリ客間キャクマにもニモなりナリ食堂ショクドウにもニモなりナリ子供コドモ遊戯ユウギシツでもデモあつたアツタそれにソレニまたマタ工場コウジョウやうヤウあつたアツタそのソノ雑然ザツゼンしたシタナカほんたうホンタウいいイイ統一トウイツあつたアツタ来客ライキャクマレだしダシ物音モノオトせずセズ常住ジョウジュウ読書ドクショ思索シサク創作ソウサク自分ジブンアソばせてバセテられたラレタここココるとルトそれらソレラすべてスベテウシナはれハレ
 五月ゴガツからカラこのコノカタわたくしワタクシまだマダこのコノウチしつくりシツクリつかないツカナイのだノダどのドノムロにもニモ統一トウイツありアリキチンきちんしてシテるがルガそれだけソレダケカエつてツテ圧迫アッパクされるサレルやうなヤウナするスルどのドノムロツクエ据ゑスエてもテモちつけチツケないでナイデあつちアツチスワつてツテたりタリこつちコツチコシかけてカケテたりタリしてシテ雑然ザツゼンナニかもカモホウりつぱなしリツパナシしてシテムロのでノデあるアルあつてアツテいいイイウチオモそれだけソレダケまたマタうつかりウツカリできないデキナイのでノデあるアル
 それにソレニ面会人メンカイニンオオことコトオオ三十サンジュウニンあるアルハジコロカネせびりセビリまでマデ随分ズイブン面会日メンカイビ木曜モクヨウきめてキメテモントビラフダけたケタほんたうホンタウこちらコチラ仕事シゴトタメカンガくれさうクレサウヒトさしてサシテりさうリサウないナイのでノデしみじみシミジミコマつてツテシマそしてソシテかんじんカンジン面会日メンカイビわざわざワザワザ時間ジカンあけてアケテつてツテのにノニほんホン一人ヒトリ二人フタリしかシカしないシナイさうしてサウシテ面会日メンカイビフダまでマデダレヌスんでンデつてツテシマつたツタ
 わたくしワタクシここココしてシテからカラ一晩ヒトバンついたツイタ自分ジブン時間ジカンつたツタことコトないナイ
 こんなコンナコトツヅいたイタわたくしワタクシホロびるビルほかホカないナイのだノダ仕事シゴトできないデキナイくらクラクルしいシイことコトないナイ病気ビョウキなりさうナリサウ
 つくづくツクヅク小田原オダワラはれたハレタ木兎ミミズクウチカエたくタクなつてナツテ

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.2424(新字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000106/card2424.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000106/files/2424_24002.html
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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