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ダイ3ワ ショサイ ト ホシ・キタハラ ハクシュウ


■ 学習ガクシュウコンテンツ  


作品サクヒン名メイ:書斎ショサイと星ホシ
著者チョシャ名メイ:北原キタハラ白秋ハクシュウ

『❷❷トウキョウにはワお❷ホシさんがないよ。』
 と、うちの❶コはワよく❷イふ。
『ああ、ああ、❼オレにはワ❷❼ショサイがない。』
 これはワその❷チチであるわたくし❷❸ジシンの❼❸タンソクである。
 まつたく❶❶❷オダワラの❶❸テンジン❶ヤマはワあらゆる❷❻セイザの❶モトに❼メグまれてゐイた。❶❹サンケイ❷❷フウコウともにすぐれて❷アカるかつたが、❸❶カイジョウのバルコンや❼❷シンシツから❼アオぐ❷❶ヨゾラの❸ウツクしさも❺❹カクベツであつた。これが❷❷トウキョウへエ❷キてほとんど❶❹ミウシナつて❼シマつた。それでもまだこの❷❶タニナカの❺❷ボチはワいい。❷トキとすると❷ハれわたつた❹❶マンゲツの❷ヨルなどに❶❶ミズミズしい❶❷モクセイの❼マバタきも❷ヒカる。だが、うちの❸ニワからはワ⓫❺❻ボダイジュや❼シイの❶❶コダチに❼サエギられて、❼ボウやの❼ヒトミにはワ❻ウツらない。
 それから、ここの❷ウチである。❸ニワはワ❷ヒロく、❶キも❶タちこんで、⓫ヒサシの❸フカい、それはワ❷❷コフウな❼❼ユウガな❼オモムきもあり、❺ユタかな❶❸キモチもあるが、どの❷ムロにも❶❷ニッコウが❷❺チョクセツにはワ❷アタらない。❼シッけもする。❸❹ゼンゼン❸❸❹カイホウテキであつた❶❶❷オダワラの❷ウチとはワあまりに❼チガひ❺スぎる。あちらではワ❼❺シンサイで❷❼ハンカイはワしても、それはワ❶❻コドモがあるいても❼ユれてゐイた❸❶カイジョウの❶❷セイカツではワあつたが、❹キワめて❶❸キヤスく❹❹キセツの❷カゼと❷ヒカリとを❸ウけ❶イれてゐイた。さうしてまるで❶❶クサキや❼❶コンチュウの❸❸セカイに❷❹マガリでもしてゐイるやうに❷タノしまれた。❷❼ショサイにしてからが❺❷イマにもなり、❼❷シンシツにもなり、❸❷キャクマにもなり、❷❺ショクドウにもなり、❶❻コドモの❸❼ユウギ❷シツでもあつたが、それにまた❷❷コウジョウ❶ミたやうではワあつたが、その❺❹ザツゼンとした❶ナカにほんたうのいい❺❶トウイツがあつた。❷❸ライキャクはワ⓫マレだし、❸❶モノオトはワせず、❺❸ジョウジュウ❷❷ドクショと❷❼シサクと❻❷ソウサクとに❷❷ジブンを❸アソばせてゐイられた。ここへエ❷クるとそれらのすべてが❹ウシナはれた。
 ❶❶ゴガツからこの❷カタ、わたくしはワまだこの❷ウチにしつくりとはワ❸スみつかないのだ。どの❷ムロにも❺❶トウイツはワありキチンとはワしてゐイるが、それだけ❼カエつて❺❼アッパクされるやうな❶キがする。どの❷ムロに❻ツクエを❼ゑスエても❸オちつけないで、あつちへエ⓫スワつて❶ミたり、こつちへエ❼コシかけて❶ミたりしてゐイる。❺❹ザツゼンと❷ナニもかも❸ホウりつぱなしにして❹オく❷ムロが❹ナいのである。❼サびがあつていい❷『ウチ』だとはワ❷オモふが、それだけまたうつかりとできないのである。
 それに❸❷❶メンカイニンの❷オオいことはワ❷オオい❶ヒにはワ❶❶サンジュウ❶ニンもある。❹ハジめの❼コロはワ❶カネせびりまでが❼❷ズイブンと❷キた。❸❷❶メンカイビはワ❶❷モクヨウときめて❷モンの❼トビラに❶キの❹フダはワ❼カけたが、ほんたうにこちらの❸❸シゴトの❼タメに❷カンガへエてくれさうな❶ヒトはワさして❸アりさうにないのでしみじみ❻コマつて❼シマふ。そしてかんじんの❸❷❶メンカイビにはワわざわざ❷❷ジカンをあけて❸マつてゐイるのにほんの❶❶ヒトリか❶❶フタリしか❷キはワしない。さうして❸❷❶メンカイビの❹フダまで❼ダレかが❼ヌスんで❷イつて❼シマつた。
 わたくしはワここへエ❼コして❷キてから❶❻ヒトバンと❸オちついた❷❷ジブンの❷❷ジカンを❸モつたことはワない。
 こんな❸コトが❹ツヅいたら、わたくしはワ❼ホロびるほかはないのだ。❸❸シゴトができないくらゐイ❸クルしいことはワない。❸❶ビョウキになりさうだ。
 つくづく❶❶❷オダワラの❼コはれた❶⓫ミミズクの❷ウチに❷カエりたくなつてゐイる。

■ コンテンツこんてんつ  


作品サクヒン名メイ:書斎ショサイとト星ホシ
著者チョシャ名メイ:北原キタハラ白秋ハクシュウ

『東京トウキョウにニはワおオ星ホシさんサンがガないよナイヨ。』
 とト、うちのウチノ子コはワよくヨク言イふフ。
『ああアア、ああアア、俺オレにニはワ書斎ショサイがないガナイ。』
 これコレはワそのソノ父チチであるわたくしデアルワタクシ自身ジシンのノ嘆息タンソクであるデアル。
 まつたくマツタク小田原オダワラのノ天神テンジン山ヤマはワあらゆるアラユル星座セイザのノ下モトにニ恵メグまれマレてテゐイたタ。山景サンケイ風光フウコウともトモにニすぐれてスグレテ明アカるルかつたカツタがガ、階上カイジョウのノバルコンばるこんやヤ寝室シンシツからカラ仰アオぐグ夜空ヨゾラのノ美ウツクしさシサもモ格別カクベツでデあつたアツタ。これがコレガ東京トウキョウへエ来キてテほとんどホトンド見失ミウシナつてツテ了シマつたツタ。それでもソレデモまだマダこのコノ谷中タニナカのノ墓地ボチはワいいイイ。時トキとトするとスルト晴ハれレわたつたワタツタ満月マンゲツのノ夜ヨルなどナドにニ水水ミズミズしいシイ木星モクセイのノ瞬マバタきキもモ光ヒカるル。だがダガ、うちウチのノ庭ニワからカラはワ菩提樹ボダイジュやヤ椎シイのノ木立コダチにニ遮サエギられラレてテ、坊ボウやヤのノ瞳ヒトミにニはワ映ウツらないラナイ。
 それからソレカラ、ここのココノ家ウチであるデアル。庭ニワはワ広ヒロくク、木キもモ立タちチこんでコンデ、廂ヒサシのノ深フカいイ、それソレはワ古風コフウなナ幽雅ユウガなナ趣オモムきキもモありアリ、豊ユタかなカナ気持キモチもモあるがアルガ、どのドノ室ムロにもニモ日光ニッコウがガ直接チョクセツにニはワ当アタらないラナイ。湿シッけケもモするスル。全然ゼンゼン開放的カイホウテキでデあつたアツタ小田原オダワラのノ家ウチとトはワあまりアマリにニ違チガひヒ過スぎるギル。あちらアチラでデはワ震災シンサイでデ半壊ハンカイはワしてもシテモ、それソレはワ子供コドモがガあるいてアルイテもモ揺ユれてレテゐイたタ階上カイジョウのノ生活セイカツでデはワあつたアツタがガ、極キワめてメテ気安キヤスくク季節キセツのノ風カゼとト光ヒカリとをトヲ受ウけケ入イれてレテゐイたタ。さうしてサウシテまるでマルデ草木クサキやヤ昆虫コンチュウのノ世界セカイにニ間借マガリでもデモしてシテゐイるルやうヤウにニ楽タノしまれシマレたタ。書斎ショサイにニしてシテからカラがガ居間イマにもニモなりナリ、寝室シンシツにもニモなりナリ、客間キャクマにもニモなりナリ、食堂ショクドウにもニモなりナリ、子供コドモのノ遊戯ユウギ室シツでもデモあつたアツタがガ、それにソレニまたマタ工場コウジョウ見ミたタやうヤウでデはワあつたアツタがガ、そのソノ雑然ザツゼンとトしたシタ中ナカにニほんたうホンタウのノいいイイ統一トウイツがガあつたアツタ。来客ライキャクはワ稀マレだしダシ、物音モノオトはワせずセズ、常住ジョウジュウ読書ドクショとト思索シサクとト創作ソウサクとトにニ自分ジブンをヲ遊アソばせてバセテゐイられたラレタ。ここココへエ来クるとルトそれらソレラのノすべてスベテがガ失ウシナはれハレたタ。
 五月ゴガツからカラこのコノ方カタ、わたくしワタクシはワまだマダこのコノ家ウチにニしつくりシツクリとトはワ住スみミつかないツカナイのだノダ。どのドノ室ムロにもニモ統一トウイツはワありアリキチンきちんとトはワしてシテゐイるがルガ、それだけソレダケ却カエつてツテ圧迫アッパクされるサレルやうなヤウナ気キがガするスル。どのドノ室ムロにニ机ツクエをヲ据ゑスエてもテモ落オちつけチツケないでナイデ、あつちアツチへエ坐スワつてツテ見ミたりタリ、こつちコツチへエ腰コシかけてカケテ見ミたりタリしてシテゐイるル。雑然ザツゼンとト何ナニもモかもカモ放ホウりつぱなしリツパナシにニしてシテ置オくク室ムロがガ無ナいイのでノデあるアル。寂サびビがガあつてアツテいいイイ家ウチだダとトはワ思オモふフがガ、それだけソレダケまたマタうつかりウツカリとトできないデキナイのでノデあるアル。
 それにソレニ面会人メンカイニンのノ多オオいイことコトはワ多オオいイ日ヒにニはワ三十サンジュウ人ニンもモあるアル。初ハジめメのノ頃コロはワ金カネせびりセビリまでマデがガ随分ズイブンとト来キたタ。面会日メンカイビはワ木曜モクヨウとトきめてキメテ門モンのノ扉トビラにニ木キのノ札フダはワ掛カけたケタがガ、ほんたうホンタウにニこちらコチラのノ仕事シゴトのノ為タメにニ考カンガへエてテくれさうクレサウなナ人ヒトはワさしてサシテ有アりさうリサウにニないナイのでノデしみじみシミジミ困コマつてツテ了シマふフ。そしてソシテかんじんカンジンのノ面会日メンカイビにニはワわざわざワザワザ時間ジカンをヲあけてアケテ待マつてツテゐイるルのにノニほんホンのノ一人ヒトリかカ二人フタリしかシカ来キはワしないシナイ。さうしてサウシテ面会日メンカイビのノ札フダまでマデ誰ダレかカがガ盗ヌスんでンデ行イつてツテ了シマつたツタ。
 わたくしワタクシはワここココへエ越コしてシテ来キてテからカラ一晩ヒトバンとト落オちチついたツイタ自分ジブンのノ時間ジカンをヲ持モつたツタことコトはワないナイ。
 こんなコンナ事コトがガ続ツヅいたイタらラ、わたくしワタクシはワ滅ホロびるビルほかホカはハないナイのだノダ。仕事シゴトがガできないデキナイくらクラゐイ苦クルしいシイことコトはワないナイ。病気ビョウキにニなりさうナリサウだダ。
 つくづくツクヅク小田原オダワラのノ壊コはれたハレタ木兎ミミズクのノ家ウチにニ帰カエりリたくタクなつてナツテゐイるル。

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.2424(新字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000106/card2424.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000106/files/2424_24002.html
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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