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ダイ20ワ ゲッショク・ユメノ キュウサク


学習ガクシュウコンテンツ 


作品サクヒンメイ月蝕ゲッショク
著者チョシャメイ夢野ユメノ久作キュウサク

   ★

『ハガネ』のようにみわたる❶❶オオゾラのまんナカ
ツキがすすりいている。
………けがらわしい❷❸チキュウ❼❼『カゲ』
❷❷ジブンカオにうつるとて…………
それを❶❺オオゼイ❶❷ニンゲンからられるとて…………
…………ぶるいしてイヤがっている。

   ★

………しかし………
ノガれられぬクラ❸❸ウンメイ…………
❻々コッコク❼❶カノジョセマってる。
❶❶オオゾラのただナカに…………

   ★

……はじまった……
❶⓫ゲッショクが…………

   ★

❼❶カノジョいつとなく❸❸シソウをあらわしてた。
❶々ミズミズしい❶❶ナマシロホオ…………
……えぬ❼❷カミノケを、❷々ナガナガ❷❸❷チヘイセンまできはえた………
それがツメたく……ウツクしく……きとおる……
 コメカミのあたりから❶❶『スイキ』が…………ヒッソリとしたたる。

   ★

❼❶カノジョもう…………
❸❷シカタがないとあきらめて
クラい…………ミニク❸❸ウンメイに…………
❷❷ジブンをまかせてしまうつもりらしい。

   ★

『アゴ』のあたりが
すこしばかりかれる。
…………クロがムルムルとく。
…………クラ『ナマグサ』いにおいが❶❶オオゾラナガす。
…………それが❶❸イチメン❷❸❷チヘイセンまでヒロがってゆく。
❼❶カノジョ❸❻トリマホシヒカリがギラギラとえかえった。

   ★

❼❶カノジョ『マブタ』ヒトしきりふるえて
やがてチカラなく『クロ』ずんでる。
ハナヨコクロ『カタマリ』アゲる。
…………フカ❼❼キリコまれた『ヤイバ』カゲ
❶❷❶アカチャケニクがヒクメク。

   ★

❸❸セカイクラくなった。
すべての❶❸セイブツナマリのようにオモたく
ハリのように❻々イタイタしいココロ
ジッとイダいてウゴかなくなった。

   ★

けれどもクラい……❻❸コウテツよりもよくれる❶❷エンケイ『ヤイバ』
❼❶カノジョアオざめた❸頬ヨコッツラ
なおもズンズンとんでゆく。
そこからアフクラい…………ナマグサいにおいにすべてオボんでゆく。
…………ヤマも…………ウミも…………モリも…………イエも…………❷❸ドウロも…………
…………そこいらから❶❶ミアげている❶❷ニンゲンたちも…………

   ★

そのナカにただヒトノコシロヒカリ…………
❼❶カノジョガクハナすじが
もうすこしで…………
クロ『ヤイバ』カゲオオわれそうになった。

   ★

❶❶❸ソライチメン『オビタダ』しいホシ
チイさなコエ『ササヤ』って
マタヒッソリとシズまった。

   ★

❼❼インサン❹❷サイゴトキ…………
カオオオいつくすシタ
❹❹カンネンしてじていたシロマブタ
パッチリと❼❶カノジョ❶❸ミヒラいた。

   ★

❹❷アンガイ❸❶ヘイキカオ
❶❸ゲカイ❶々ヒトビトナガまわした
ニッコリとワラった。

   ★

…………ホホホホホホホ……
これ❼❺シバイなのよ。
……❶❶オオゾラカゲヒカリりの……。
だから『ワタシ』イタくもクルしくも………
……ナンともないのよ…………
そうしてもうじきおしまいになるのよ。

   ★

…………でもミナさんホントになすったでしょう。
……あたし❶❻メイユウでしょう……
オホホホホホ……………

   ★

サヨウナラ…………
みなさんおやすみなさい。
……ホホホホホ……………………
ホホホホホ……………………………

コンテンツこんてんつ 


作品サクヒンメイ月蝕ゲッショク
著者チョシャメイ夢野ユメノ久作キュウサク

   ★

ハガネようヨウみわミワたるタル大空オオゾラまんマンナカ
ツキすすりススリいてイテいるイル
………けがらわケガラワしいシイ地球チキュウ陰影カゲ
自分ジブンカオうつるウツルとてトテ…………
それソレ大勢オオゼイ人間ニンゲンからカラられるラレルとてトテ…………
…………ぶるブルいしイシイヤがってガッテいるイル

   ★

………しかしシカシ………
ノガられぬラレヌクラ運命ウンメイ…………
刻々コッコク彼女カノジョセマってッテ
大空オオゾラただタダナカ…………

   ★

……はじまったハジマッタ……
月蝕ゲッショク…………

   ★

彼女カノジョいつイツなくナク死相シソウあらわアラワしてシテ
水々ミズミズしいシイ生白ナマシロホオ…………
……えぬエヌ髪毛カミノケ長々ナガナガ地平線チヘイセンまでマデはえハエ………
それソレツメたくタク……ウツクしくシク……とおるトオル……
 コメカミこめかみあたりアタリからカラ水気スイキ…………ヒッソリひっそりしたシタたるタル

   ★

彼女カノジョもうモウ…………
仕方シカタないナイあきらめアキラメ
クラ…………ミニク運命ウンメイ…………
自分ジブンまかせマカセしまうシマウつもりツモリらしいラシイ

   ★

アゴあたりアタリ
すこしスコシばかりバカリかれるカレル
…………クロムルムルむるむる
…………クラナマグサにおいニオイ大空オオゾラナガ
…………それソレ一面イチメン地平線チヘイセンまでマデヒロがってガッテゆくユク
彼女カノジョ取巻トリマホシヒカリギラギラぎらぎらかえったカエッタ

   ★

彼女カノジョマブタヒトしきりシキリふるえフルエ
やがてヤガテチカラなくナククロんでンデ
ハナヨコクロカタマリアゲ
…………フカ斬込キリコまれマレヤイバカゲ
赤茶気アカチャケニクヒクメクひくめく

   ★

世界セカイクラなったナッタ
すべてスベテ生物セイブツナマリようヨウオモたくタク
ハリようヨウ痛々イタイタココロ
ジッじっイダウゴなくナクなったナッタ

   ★

けれどもケレドモクラ……鋼鉄コウテツよりヨリよくヨクれるレル円形エンケイヤイバ
彼女カノジョアオざめたザメタ横頬ヨコッツラ
なおもナオモズンズンずんずんんでンデゆくユク
そこソコからカラアフクラ…………ナマグサにおいニオイすべてスベテオボんでンデゆくユク
…………ヤマ…………ウミ…………モリ…………イエ…………道路ドウロ…………
…………そこソコいらイラからカラ見上ミアげてゲテいるイル人間ニンゲンたちタチ…………

   ★

そのソノナカただタダヒトノコシロヒカリ…………
彼女カノジョガクハナすじスジ
もうモウすこしスコシ…………
クロヤイバカゲオオわれワレそうソウなったナッタ

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空一面ソライチメンオビタダホシ
チイさなサナコエササヤってッテ
マタヒッソリひっそりシズまったマッタ

   ★

陰惨インサン最後サイゴトキ…………
カオオオつくすツクスシタ
観念カンネンしてシテじてジテいたイタシロマブタ
パッチリぱっちり彼女カノジョ見開ミヒラいたイタ

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案外アンガイ平気ヘイキカオ
下界ゲカイ人々ヒトビトナガまわしマワシ
ニッコリにっこりワラったッタ

   ★

…………ホホホホホホホほほほほほほほ……
これコレ芝居シバイなのよナノヨ
……大空オオゾラカゲヒカリ……。
だからダカラワタシイタクルしくシク………
……ナンともトモないナイのよノヨ…………
そうしてソウシテもうモウじきジキおしまいオシマイなるナルのよノヨ

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…………でもデモミナさんサンホントほんとなすったナスッタでしょうデショウ
……あたしアタシ名優メイユウでしょうデショウ……
オホホホホホおほほほほほ……………

   ★

サヨウナラさようなら…………
みなさんミナサンおやすみオヤスミなさいナサイ
……ホホホホホほほほほほ……………………
ホホホホホほほほほほ……………………………

■ 原書情報(青空文庫) 図書カード:No.2378(新字旧仮名) https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/card2378.html https://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/2378_13519.html
★★★ 各小説投稿サイトへのリンク集(各投稿サイトでも公開しています) ★★★
Q:青空文庫って、何ですか?
A:1997年に始まったボランティア活動で、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、共有可能なものとして図書館のようにインターネット上に集めようとしております。現在は、日本国内で著作権保護期間の満了した作品を中心に、ボランティアのみなさんの力によって電子化作業を進めています。青空文庫はそういった電子化活動のための、またその成果物をアーカイヴしておくための場でもあり、そこからコピーされた本の集成や活用事例もまた〈青空文庫〉と呼ばれることがあります。
Q: What is Aozora Bunko?
A: The volunteer activities, which began in 1997, the free e-book that can be accessed by anyone in, we are going to gather on the Internet like a library as a thing that can be shared. Currently, we are proceeding with digitization work with the help of volunteers, focusing on works whose copyright protection period has expired in Japan. Aozora Bunko is a place for such digitization activities and for archiving the deliverables, and the collection and use cases of books copied from it are also sometimes called “Aozora Bunko”.
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