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作品サクヒン名メイ：落葉オチバ
著者チョシャ名メイ：木村キムラ好子ヨシコ

落葉オチバよヨ、落葉オチバよヨ、
秋風アキカゼにニ吹フかれカレてテ、
おオ前マエがガカラカラからからとト鳴ナりリ乍ナガらラ
井戸端イドバタにニ水ミズすすぐススグ私ワタクシのノ手元テモトへエ、黄色キイロくク、
舞マいこんでイコンデくるクルとト、
おおオオ、私ワタクシはワ胸ムネふたフタがガれるレル！

何一ナニヒトつツもたらすモタラスことコトなくナク、
過スぎギ去サったッタ日ヒのノ一日イチニチ一日イチニチをヲ
ただタダ、えいえいエイエイとト
つづれツヅレつくろいツクロイ、米コメかしぎカシギ
凡スベてテのノ希ノゾみミもモ、よろこびヨロコビもモ、
かなしみカナシミさえサエもモおきオキ去ザりリにニしてシテ
生涯ショウガイをヲただタダ貧マズしくシク終オえエゆくユク無数ムスウのノ私ワタクシらラのノ生命イノチのノようにヨウニ、
ああアア、おオ前マエはワ散チってッテゆくユク、
秋風アキカゼにニなぶられナブラレてテ、舞マいイ乍ナガらラ……

空ソラはワ、
こんなにコンナニ青アオくク、深フカくク、
豊ユタかカにニみのってミノッテいるイル穂波ホナミもモあろうアロウにニ。
落葉オチバよヨ、
おオ前マエのノそのソノカラカラからからとト鳴ナるル音オトはワ
どんなにドンナニ、私ワタクシのノ胸ムネをヲたたきタタキ、
あわれアワレをヲ――、
はきハキよせヨセられラレ、すてステ去サられるラレルものモノのノ上ウエにニはせハセさせるサセルかカ！

ああアア、ひょうひょうとヒョウヒョウト舞マいイ乍ナガらラ、
むなしくムナシク散チりリゆくユク落葉オチバよヨ！
けれどもケレドモ、
おオ前マエのノそのソノつもりツモリつもったツモッタ骸ムクロがガ、豊饒ホウジョウなナ土壌ドジョウをヲつくりツクリ、
やがてヤガテ、来クるル春ハルにニそなえるソナエルようヨウにニ、
私ワタクシたちタチのノ、このコノいためイタメられたラレタ生活セイカツがガ
失ウシナったッタものモノがガ、
地上チジョウにニみちミチあふれアフレ、天地テンチをヲ包ツツむときムトキ、
そこソコにニ、
新アタらしいラシイ世界セカイがガ……

おおオオ落葉オチバよヨ、落葉オチバよヨ、
私ワタクシらラのノもみくちゃモミクチャなナ生セイよヨ、
苦悩クノウのノカラからよヨ
秋風アキカゼにニたたかれタタカレてテ、激ハゲしくシク、
散チれよレヨ、散チれレ！


（『詩シ精神セイシン』一九三五センキュウヒャクサンジュウゴ年ネン十一ジュウイチ・十二ジュウニ月ガツ合併ガッペイ号ゴウにニ発表ハッピョウ　一九三六センキュウヒャクサンジュウロク年ネン一月イチガツ前奏ゼンソウ社シャ刊カン『一九三五センキュウヒャクサンジュウゴ年ネン詩集シシュウ』をヲ底本テイホン）